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映画鑑賞日記・その17

・THE HELP (「ヘルプ~心がつなぐストーリー」 2011年 アメリカ)

1960年代前半のミシシッピ州。
女性は若いうちに結婚して専業主婦になるのが当然のこの街で、新聞社で働くスターキーがある本を出版するお話。

南北戦争後の奴隷解放宣言の時代から100年も経っているにも関わらず、この映画の舞台となっているアメリカ南部では、「分離すれども平等」という「ジム・クロウ法」により、白人優位と黒人差別が保たれていたそうです。

そんな環境の中、上流階級の白人たちは、黒人のヘルプ(メイドさんのことをこう呼ぶんですね。「お手伝いさん」って感じかしら?)と同じトイレを使うのを嫌がる(病気がうつる、という理由で)一方で、子供の面倒をみさせたり食事を作ってもらう生活をしています。
ほんとうに彼らが病気を持っていると心配しているならば、子供や食べるものにもさわって欲しくないはずなのに・・・。
つまり、自分たちの都合のいいように差別をしているだけなんですね。

自分が育て、子供の頃は誰よりもなついてくれていたお嬢さんたちが、大人になると自分たちに冷たく振る舞う。
そんなことが当たり前の環境の中、スキーターのように、そのことに疑問を持ち行動を起こすにはちょっとした勇気が必要です。
彼女の場合、結婚もしないで仕事をしている、ということも、この時代・この街では勇気ある行動になってしまいますね。

主婦コミュニティの女王様であり、スキーターの幼なじみでもあるヒリーの母親(シシー・スペイセク)のキャラクターがとてもよかったです。
認知症の気がありながら大らかでユーモアたっぷりの彼女は、実の娘がこんな風に育ってしまって、心苦しく思ってるんじゃないかしら。

私は、ヒリ―のように彼らを差別するにしても、スキーターのように彼らの味方になるにしても、自分が納得し胸を張って行動することが大切だと思います。
おかしいと思っているけどそうするものだから、といった理由だったり、自分が信じるもののためではなく意地でやっていたり、という風になってしまうと、きっと後悔してしまうんじゃないかな。

スキーターを演じたエマ・ストーン(彼女はもうすぐ公開される新しいスパイダーマンの映画でヒロインを演じています。これも楽しみ!)は、赤毛のアンでも演じさせたいようなそばかすだらけの顔がとてもキュートでした。(声はとってもハスキー)
彼女が着ていたお洋服は、他の登場人物たちのものほど華やかではなかったけれど、どれも自分で着たいと思うような素敵なものばかり。
そして、彼女とシーリアが乗っていた車は、私が最も「アメリカっぽい」と思うデザインのキャデラックでした。(車体が長いの!)
この車からも、ふたりが他の上品な奥さんたちとはちょっと違う、ということがわかります。

登場するキャラクターとそれぞれが取る行動がとてもわかりやすいストーリーだったので、2時間半という長さもまったく気になりませんでした。
そのキャラクターと行動には、いいものも、ちょっとどうかと思うものもありましたが、それぞれの立場や性格などから、そうせざるを得ないんだろうな、と思ってしまうのは、やはり私が歳を重ねたからでしょう。

私の大好きな「風と共に去りぬ」でも、オハラ家ではたくさんの黒人が働いていて、スカーレットの乳母も愛情深く豪快な女性でした。
彼らの関係はとてもいいものでしたよね。
そうやって雇い主といい関係を築いていた人たちもたくさんいたでしょうし、ほんとにつらい思いをした人たちもいたことでしょう。
長年差別を受けながらたくましく生きてきた彼らの忍耐強さにはほんとうに感心してしまいます。

オクタヴィア・スペンサー(この作品でアカデミー賞助演女優賞を受賞)とヴィオラ・デイヴィス演じる、ヘルプのミニーとエイブリーンが教会で拍手喝采を浴びるシーンはとても感動的でした。
エイブリーンの今後を案じずにはいられない終わり方だったにもかかわらず、あまり悲観的な気持ちにならなかったのは、やはり彼らの強さを目の当たりにしたからだと思います。

春の始まりに見るにふさわしい、爽やかな気持ちになれる作品でした。


・The Ides of March (「スーパーチューズデー・正義を売った日」 2011年 アメリカ)

ジョージ・クルーニー監督第3作目。この作品では脚本と出演も兼ねています。

この映画は邦題通りスーパーチューズデーが題材のストーリーですが、政治的な映画というより、その日を舞台にしたサスペンス・ドラマです。
原題である「The Ides of March」の「Ides」というのは、古代ローマ暦で月の中日の意味だそうです。
つまり、3月だと15日のことで、この映画の中でスーパーチューズデーにあたる日はこの日に設定されています。
この日はジュリアス・シーザーが暗殺された日で、シェイクスピアの戯曲の中で彼が預言者に「3月15日に気をつけろ」と言うのだそうです。
これを原題につけたのは、ストーリーにジュリアス・シーザー的なものを感じたからだとか。

ストーリーもキャラクターもわかりやすく安心してハラハラできました。
キャストが豪華かつ個性的。

まず、民主党の大統領候補マイク・モリスを演じるのはジョージ・クルーニー。
彼を崇拝しキャンペーンのサブ・マネージャーを務めるスティーブンには、今をときめくライアン・ゴズリング。彼はここのところ公開作が多いですよね。
このスティーブンは(仕事仲間としても恋愛対象としても)敵に回したくないタイプです。
あんなクールな顔で優しくされたらすごくうれしいけど、いちど怒らせたら大変ですきっと。
こんな男性を好きになってしまった場合は、彼のハートをがっちり掴んで一生離さない(つまり絶対敵に回さない)のが身のためです。

両陣営でマネージャーを務めるのが、フィリップ・シーモア・ホフマンとポール・ジアマッティ。
ふたりともさえないおじさん加減が同じぐらいでいいですね。
このふたりはおなかのお肉もいい勝負で、どっちのおなかが立派に見えるかの投票も合わせてやってもらいたいぐらいでした。
(フィリップ・シーモア・ホフマンは「マネー・ボール」で監督役をやっていたときにもすごいおなかだなぁと思いました)

鍵を握るキャンペーンスタッフのモリーにはエヴァン・レイチェル・ウッド。
彼女はウディ・アレンの「人生万歳!」では明るくかわいらしい女の子を演じていましたが、この映画では悲しそうな顔をしていることが多かったですね。
ま、どんな役でも彼女ほんとにきれい。

そしてニューヨークタイムズの記者アイダが登場したとき、マリサ・トメイに似てる?でも彼女にしてはちょっと歳とり過ぎ...?と思ったけど、やっぱり彼女でした。(彼女もう47歳なんですねぇ)
もう20年ぐらい前に彼女がロバート・ダウニー・Jrと共演した「オンリー・ユー」というロマンチック・コメディが印象に残っています。

この映画を観る数日前に「ヘルプ」という映画を観たときと同様、やはりどんな行動を取るにしても、自分の信念の通りに自信を持って行わないと空しい気持ちになってしまうよなぁ、と思ってしまうエンディングでした。
まあでも、特に政治のような世界ではそうするのは難しいだろうし、この映画の中でもあった、票を獲得するための駆け引きなんかは、実際もそうなんだろうなーと興味深く観ましたけど。

今年はこの映画が公開されるちょっと前にスーパーチューズデーがあり、秋には大統領選挙があります。
裏側ではどんなドラマが繰り広げられているのか想像せずにはいられませんね。

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