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2011年12月

The Social Network

Tsn © 2010 Sony Pictures.

今年1月に公開された話題作。

私はこの映画を公開日に観に行ったのですが、その後公開中になんと合計4回も観に行ってしまいました!
もちろんサントラも購入したし、5月に発売されたDVDは予約をして買いました。
映画館に2回観に行った映画というのはありますが4回は初めてだったし、ここまで気に入った映画はほんとうに久しぶりでした。

なので、いつにも増して書きたいことがたくさんあります。


・キャスティング

まず、なんといってもキャスティングが素晴らしい!
メインキャストを演じたのは、ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク。(3人とも長い名前だな)

マーク・ザッカーバーグを演じたジェシー・アイゼンバーグは今までも何度もコンピューター・ギークを好演している俳優さん。
あれだけの量の早口のセリフをさらりとクールに話すのを観ていると、尊敬の念が湧いてきます。
オープニングのシーンを99テイクも演じたのは有名な話。
監督のデヴィッド・フィンチャーの狙いは、何度も演じることで力が抜けて演技っぽさがなくなる、ということだそう。
まさに「習うより慣れろ」ということですね。

エドゥアルド・サベリン演じるアンドリュー・ガーフィールドは来年公開される新しいスパイダーマンなのです。好青年ですよねー。
彼は「BOY A」や「私を離さないで」などの作品でも誠実で繊細な役を演じていますが、そのルックスとイメージからもこのエドゥアルド役にぴったりでした。

ショーン・パーカー役のジャスティン・ティンバーレイクは有名なシンガー。
私は彼の名前はゴシップ記事で目にするぐらいだったので、「プレイボーイ」というイメージがあるだけで顔も知らないような状態でした。
この役にはそのイメージが合っていたように思うし、彼に「Napster」という音楽業界ではいわく付きの会社の設立者をあえて演じさせたことも(彼自身もインタビューでこの役を演じることにリスクはあった、と言っていました)キャスティングの人すごいなぁと思いました。


・スピード感

オープニングのギターの音とバーのざわめき、マークのまくしたてるようなセリフ。
始まって10秒ぐらいでもうすでに、この映画のペースに飲みこまれてしまいました。

そして、それに続くハッキングのシーン。
ここは何度観てもゾクゾクしますねー。(特にマークが手をひらひらさせるシーンと「Let the hacking begin」のセリフ!)
私は日常で普通にパソコンを使ってはいますが、ハードについてもソフトについても全くと言っていいほど知識がありません。
しかし、このハッキングのシーンは、私ぐらい知識がなくても何をしているところなのかを十分に理解することができました。
脚本のアーロン・ソーキンも、このシーンは自分で書いたのにわからない言葉がたくさんあると言っていたけれど、これだけテンポよくわかりやすく表現するって、彼も監督も俳優さんたちもすごいな!

もうひとつとても印象的だったのは、ショーン・パーカー登場のシーン。(あ、スタンフォードじゃなくて、マークたちと初めて会うとこね)
クールでスマートな振る舞いの彼に、マークとクリスティが完全に魅了されている様子が、スローモーションの映像と大音量の音楽(場面が法廷に移るとその音楽がピタッと止む)によって効果的に演出されていて、そのシーンが終わった後にはマーク同様ため息が出ました。


・SNSというもの

このストーリーは実在のSNS「Facebook」を設立した実在の人物を題材にしているので、どの部分が事実なのか?フィクションなのか?といったデリケートな問題(特に関係者にとって)も話題になりました。

繰り返しになりますが、ストーリーなど映画として大変素晴らしかったので、もはやフィクションかどうか、という点は私は全く気になりませんでした。
しかしながら、やはり観客である私たちにとって身近な存在になりつつある「Facebook」が題材になっていて、私たちも顔を知っている「マーク・ザッカーバーグ」という人物の物語、という設定は、これが全くのフィクションであるよりもあらゆる面でプラスになったと思います。
「世界最年少の億万長者とその親友が仲たがいする」なんて設定は(事実かどうかは置いておいて)全くのフィクションより実在の人物の方がスリルがありますよね。

当然、製作側とFacebook側でいろいろあったようですが、結局はこのような映画が製作できるってすごいですね。
マーク・ザッカーバーグは公開前にこの映画を見て、彼を演じたジェシーのいとこ(偶然にもFacebookのスタッフなんですって)に、「君のいとこはいい演技をしてたね」と言ったそうだし、公開後にジェシーが「サタデー・ナイト・ライブ」という番組に出たときには、本物のマークが登場する、という演出がありましたが、とってもいい雰囲気でした。

登場するSNSが実在がどうかは関係なく、あー、これあるあるー、というシーンがいくつか出て来たのもこの映画を楽しめた要因です。

エドゥアルドの恋人クリスティが、彼の恋人ステイタスがなぜ「シングル」のままなのかを問いただすシーン。
彼の答えは「どうやって設定を変更するのか知らないんだよ!」
これ、いかにもありそう。まあ、実際の設計者(マーク)であればそれはないでしょうけど、エドゥアルドはCFOです。
会社の偉いポジションにいる人が、その会社の製品をよく知らないって身近でもよくあることです。(恥ずかしいことですけどね)
ちなみにその後の「シリコンバレーのアバズレは、Facebookの恋人ステイタスなんか気にしないよ!」というセリフは笑えました。そりゃそうだ。

さらに終盤、立派になったオフィスで登録者数がいよいよ100万人を突破する、というシーン。
ショーンがもうそろそろかな?と確認したときは、999,942人です。
それからちょっとおしゃべりをしている間、わずか1分後(DVD観て計っちゃった)に再度更新すると、すでに1,000,046人に達していました。
1分間で100人登録。
それは、今この時代に身を置いていなければ想像するのが難しかった数字だと思います。

そして、いちばん最後のシーン。
エリカに友達リクエストを送ったマークは数秒ごとに更新ボタンを押しています。

その昔、手紙がコミュニケーションの手段だった頃は、「自分が書いてから相手が読む、そして、相手が返事を書いてから自分が読む」この往復に何日もの時間がかかりました。
私が手紙よりもメールをよく使うようになった頃、まず、この「書いてから相手が読む」の部分に時間がかからなくなったことがとても便利だなぁと感じました。
しかし、すぐに返事を書くかどうかはまた別の問題。

その後、この部分の時間が短縮されたのが、SNSの時代だと思います。
例えば私が毎日お世話になっているTwitter。
これはもうほとんどチャットなので、1分と間を空けずに会話のやりとりをすることが多くあります。
(もちろん毎回誰もがその速さではないし、何時間・何日経ってから返事をする、ということもありますが)
これはTwitterに限らず、日々仕事でもプライベートでもパソコンの前に座っている人、そしてその時間が増え、また、スマートフォンの普及により、歩きながらでもそれらのサービスをチェックできるようになったからです。
実際にすぐにリアクションを起こさない場合・人もありますが、「すぐに反応する」という意識が以前よりも自然になってきていますよね。

もし、手紙しかない時代の人がこの最後のシーンを見たとしたら、そんなに早く返事が来るわけないじゃない、と思うでしょう。
しかし実際は、Facebookの友達承認なんて、すぐに気づいてすぐに反応すればそれこそ1分もかかりません。
マークが数秒ごとに更新をするどこかのタイミングで、エリカが承認することもあり得る。
この感覚をすんなりと考えるまでもなく理解できるのは、身を以って体験しているからです。

ひとつだけ、このシーンに関して違和感を感じたことがありました。
エリカとマークがほんとうに映画に描かれていたような関係だったとしたら、エリカはFacebookに登録しないよね。


・印象に残ったセリフ

ショーン・パーカーがまさに初めて登場するシーンは、スタンフォード大学のエイミーという女のコの部屋。
このエイミーを演じたのはダコタ・ジョンソンという女優さん。かわいいコだなーと思ったら、なんと彼女ドン・ジョンソンとメラニー・グリフィスの娘さんなんですって。
言われてみればお母さんに似てますね。(お尻のドアップしちゃうところも、ちゃんとお母さんの血をひいてるな、と思いました)

彼女がショーンの正体を知って、「I just slept with Sean Parker?」 と聞いた後のショーンの答え 「You just slept ON Sean Parker」 は、この映画の中で私がいちばん笑ってしまったセリフでした。

そして、この映画の中で最もぐっと来てしまったセリフは、Facebookが会社として大きくなりつつある頃にエドゥアルドが感慨深げにマークに言ったひとこと。

「Remember the algorithm on the window at Kirkland?」

なにかを作り上げるってこういうことですよね。


・友情

この映画の宣伝文句では、マークが裏切り者のようになっています。
まあ、実際大金が絡む裁判になっているのは事実ですが、少なくとも私はこの映画を観て、「マークが悪い」という印象は受けませんでした。
なんていうか、この映画を観終わったときに「悪いのは誰か?」ということを考える必要はまったくなかったです。

マークの性格に関しても「嫌な奴」というより、こういう人いるよねって感じ。
私は誰にでも愛想がいい人ってちょっとうさんくさいと思ってしまうたちなので、マークがエドゥアルドにつれない態度を取るのはそれだけ信頼しているんだと感じました。
彼のように誰にでも愛想良くできない人は、親しい人以外にはつれない態度を取るというより近づかない、話さないようにすると思うのです。
なので、マークがFacebookのことを考えるのに夢中になりながら、そっけなくはあるけれどエドゥアルドと会話をしているシーンなんかは、よっぽど気を許しているんだと思いました。

私が好きなシーンのひとつである、スタッフ選定のためにハッキングのテストをするシーン。
エドゥアルドが、なんでいちいちお酒を飲ませるの?と聞いたとき、マークが「チキンを1週間連れて歩く方がいいか?」というセリフ。
彼はすぐに「ごめん、意地悪だった」と謝りますが、これくらいのジョーク(まあ、ちょっときついけど)、家族や親しい友達になら私だって言っちゃうなぁ。

彼は自分には友達があまりいないと思っていますが、学生時代よりもいろいろな人と知り合うことができている今(30代)になっても、ほんとうに友達と呼べる人なんて、そうたくさんはいませんよね。
冒頭のFacemashのシークエンスで、マークを含め数人がパソコン覗き込んでいるシーンや、Facebookという会社を作る上で協力してくれる友達が数人(も)いる、ということを考えると、私には彼はそんなに孤独を感じることはないのに(まあ、実際本人は感じてないかもしれないですけどね)と思いました。

終盤、立派になったFacebookのオフィスでマークとエドゥアルドが言い合いをするシーン。
あのけんかは彼らがお互いを大切に思っているからこそで、私は観に行った4回ともここで泣いてしまいました。


・ロングラン

通常は映画が公開されると上映期間は1か月ぐらいですが、これは2か月以上もやっていました。(だから4回も観に行けた)
「私の周りでふだん映画を観ない人が観に行っていた」とか、「ふだん映画の話をしない人がこの映画について熱く語っていた」とか、「映画好きな人の中でもリピーターが多かった」などから、日本でもかなり話題になったという印象でした。
日本・海外を問わず、いろいろな場面で(映画関係ではなく、ビジネス関係のサイトや雑誌などでも)この映画の感想・紹介が載っていたのも興味深かったです。その内容も、さまざまな見方・解釈があるなぁと思うものばかりでした。

作品・監督・主演男優などでアカデミー賞にノミネートされながら惜しくも獲得はなりませんでしたが(脚色・編集・作曲では見事受賞)、この映画は今年を代表する映画だったと思うし、10年後・20年後に、昨年からTOHOシネマズで上映している「午前十時の映画祭」のようなイベントがあったら、きっとこの映画はラインナップに入るだろうと思います。

「ソーシャル・ネットワーク」は今年新作公開された映画で私がいちばん最初に観に行った映画で、その後もたくさんのいい映画に出会いましたが、やはり年末になった今振り返っても2011年のベスト・ムービーはこの作品でした。

さまざまな出来事があり特に印象深いいちねんとなった今年、このような映画に出会うことができて、私はほんとうに幸せでした。


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