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映画鑑賞日記・その6

・Sunshine Cleaning
(「サンシャイン・クリーニング」 2009年 アメリカ)

エイミー・アダムスとエミリー・ブラント演じるローズとノラの姉妹が、事件現場の清掃で手っ取り早くお金を稼ごうとするストーリー。

ローズはひとりで息子オスカーを育てているので必要に迫られて、ノラは姉に誘われていやいやながらも仕事をクビになったばかりだからしかたなく、自殺や殺人で汚れた現場の清掃業を始めます。

私がいちばん印象に残ったことは、最初は恐る恐るだったふたりが、テレビで事件があると反応するようになったり、現場に着いたときに部屋を見る余裕が出てきたり、残されて途方にくれている奥さんに声をかけてあげたり、といったプロ意識に目覚めていくところでした。

どんな仕事に就いていても、そういうプロ意識というのは湧いてくるものだし(湧かない人もいますが、そういう人はお金を貰っていてもプロとは言えないと私は思っています)自分に適している仕事・あるいは長年携わっている仕事をしている場合は、その仕事独特の雰囲気(時間的・作業的な特徴、また道具や匂いなど)にゾクっとする瞬間があるものです。

ローズを演じたエイミー・アダムスはとても好きな女優さんです。
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」も私にしては珍しく印象に残っているし、「魔法にかけられて」のお姫様役も「ジュリー&ジュリア」のジュリー役もとてもかわいらしかった!
この映画での、しっかりしていながら家族や恋人のことで不安になるごくふつうの女性の役も魅力的でしたね。

妹ノラ役のエミリー・ブラントは「プラダを着た悪魔」で意地悪な女の子を演じていた女優さん。
姉妹のお父さんを演じているのはアラン・アーキン。

「24」でクロエ役だったメアリー・リン・ライスカブは相変わらず険しい顔をしていました。
彼女がお酒やドラッグをやらない理由として「そういうもので酔っぱらうと心が弱くなってクラックができて、そこから悪が入り込む」と言っていたのには、なんとなく頷いてしまいました。
もちろんドラッグはやったことがないのでわからないけれど、お酒を飲むと「心が弱くなる」ものですよね。
だから女の子は酔っぱらうと好きな男性に電話するんですよ。(あ、男性もしますよね)

「サンシャイン・クリーニング」というタイトルだけあって、気が重くなる部屋の掃除に行くふたりの心とは対照的に、いつも天気が良くて空がきれいな青色だったことも印象的でした。

そして、エンディングはとても気持ちがいい。
ローズとお父さんはたくましく、ノラはフリーダム、そしてタトゥーシールのオスカーかっこいー!


・The Nanny Diaries
(「私がクマにキレた理由」 2007年 アメリカ)

これは「ティファニーで子育てを」という小説の映画化。
重い小説を読んだ後によくこういうライトノベルを読んでいた時期があり、この本もタイトルが気になって読みました。
こういうライトノベルって、コミカルで設定も映画化しやすい感じですよね。

主人公でナニーをしているアニー(ややこしいわ)を演じているのはスカーレット・ヨハンソン。
雇い主のミセスXはローラ・リニー。相変わらずきれいで、でも横柄で愛に飢えたミセスX役が見事!
その夫ミスターXはポール・ジアマッティ。「サイドウェイ」の自信なさげな優しい主人公とはうってかわって、ほんとにいやーなおっさんを演じていました。
アニーと恋をする男性はクリス・エヴァンス。え?この人「フェイク シティ」に出てた人?! 観てる間全然気づかなかった!

ナレーションが入ったりちょっとファンタジックに空を飛んでみたりするシーンも楽しかったし、空からセントラル・パークを眺められるシーンもわくわくしました。


・Morning Glory
(「恋とニュースの作り方」 2010年 アメリカ)
 
主演の3人、レイチェル・マクアダムス、ハリソン・フォード、ダイアン・キートンはみんな好きな俳優さん。
そして、ハリソン・フォードがこういう恋愛もののコメディっぽい映画に出るのは、これまた私が大好きな「ワーキング・ガール」以来20年ぶりぐらいなので、とても楽しみにしていました。
 
主人公の女性が恋も仕事もがんばる!っていう映画には、たいてい恋と仕事の邪魔をするかたき役が出てきます。
しかし、この映画ではそれがいないところが新鮮でした。
まあ、明らかなかたき役がいなくても、恋も仕事も大変なものですからね・・・。
あ、あと、これも最近の映画ではよく見かけることですが、ヒロインが恋する男性が見た目的にいかにもいい男じゃないところ(ごめんなさい…)が現実的でよかったですねー。
 
ハリソン・フォードは頑固な伝説的ジャーナリスト、マイクを演じています。
かなり終わりの方まで、なんでこの役わざわざハリソン・フォードにやらせたんだろう?と思っていましたが、エンディングでは見事に全部持っていきましたねぇ。
というわけで、この映画は結局「ハリソン・フォードの映画」でした。
 
私がこのブログのタイトルにしている「I'll remember the feeling」
これは、思い出というのは、そのもの自体よりも付随的な事がらに詰まっている、ということからつけたタイトルです。
 
私がこの映画を観に行ったのは、地震後初めてのレディースデーでした。
その週はまだ余震が多く停電の影響などもあったため、毎日仕事が15時で終了していました。
元々その週に観に行こうと思っていましたが、この日はお昼にかなり大きい地震があり、私が仕事をしているビルがとても揺れて危険なため、お昼過ぎに帰宅指示が出ました。
私が住んでいる千葉県などは、今でも映画館は休館や時間短縮をしているところが多くあります。
しかし都内ではこの週も映画を観ることができました。
この映画を観た丸の内ピカデリーも、聞いてみたところ、地震の翌日は休館したものの日曜日からは通常営業をしていたそうです。
ふだんレディースデーといえばけっこう人が入っているものですが、この日私が観た回はなんと9人しかいませんでした。(思わず数えた!)
 
そのころはまだ映画を観に行く気にならない人も多かったと思うし、確かに映画館で大きめの余震が来たら怖いだろうなーと思います。
そして節電やらなんやらの問題から、娯楽施設の営業に関する意見もいろいろなところで聞きました。
まあ、確かに映画なんかやってなければ行かないでもいいものだし、どうせ営業してもあれだけしか人が入らないんだもんなぁ、とは思います。
私は元々三半規管が弱く車酔いもよくするので、このころは毎日地震酔いで頭痛や吐き気がしていました。
それでもやっぱり私は家でも映画館でも映画を観たかったし、前々から楽しみにしていたこの映画をちゃんと映画館で観ることができてとてもうれしかったのです。

きっと私は、この先この映画を思い出すときには必ず、あの大きな地震のことも同時に思い出すのです。


・BOY A
(「BOY A」 2007年 イギリス)
 
「私を離さないで」公開に備えて、アンドリュー・ガーフィールドの映画を観てみました。
どれだけ勉強熱心なんでしょう。
10歳のときに殺人を犯した「少年A」が、24歳で出所したのちの物語です。

保護者として彼を見守るソーシャルワーカーのテリーの存在が素晴らしかった。
彼がアンドリュー演じるジャックに細やかな気配りをしつつ、きちんといちにんまえの大人として彼を扱い、また良き友人として接する姿が感動的でした。
私がもっとも印象に残ったシーンは、テリーがジャックに息子についての愚痴を話すシーンです。
テリーを演じたピーター・ミュラーという俳優さんの優しい顔つきも、役柄の良さを引き立てていたと思います。

アンドリューの華奢な体がいつも前かがみになってしまっている姿勢も、控え目にはにかむ表情も、またふつうの24歳の青年であれば知っているであろうことを知らなくて驚いてしまう様子も、10歳から10年以上も服役していたらこんな風なんだろうな、と思いました。

このふたりがとてもやわらかい雰囲気を持っていたので、重いテーマにも関わらず、ジャックに友人ができて仲良くなり、恋をして幸せそうになっていく前半部は映像にも優しさがあふれていました。
ジャックが友人クリスと外でビールを飲むシーンは風景がとてもきれいで、自分まで心地よい風と日差しの中にいるようでした。
その直後、まだ少年のエリック(これがジャックの元の名前)が友人のフィリップと、鮮やかな緑色の芝生に寝転んでいるシーンも美しかったですね。
ふたりが話している会話は、その風景とは正反対の残酷な内容なのですが。

そんな前半部を心穏やかに鑑賞していただけに、後半のストーリー展開がよりつらく、悲しく感じられました。
アンドリューの作業着とキャップ姿がかわいかったなー、なんてばかなことを言ってられないくらい(言っちゃったけど…)心に重くのしかかってくる、しかしながら、とてもいい映画でした。


・True Grit
(「トゥルー・グリット」 2010年 アメリカ)
 
コーエン兄弟脚本・監督の西部劇。
1969年のジョン・ウェイン主演「勇気ある追跡」のリメイクです。
 
映画に限らず何かに精通していると、慣れていない事柄よりもその方面の情報がぱっと頭に入ってきます。
そしてそういった多くの情報を持っていると、そのものをより楽しめるようになります。
そのため、興味のあるものに関してはより詳しくなり、興味のないものに関してはまったく情報が入ってこない、という状況に陥ります。
(ま、これは苦手意識にもよるので、あくまで私の場合、ということで)
 
この映画を観ていて感じたのはまさにそのことでした。
私は西部劇を観たことがまったくと言ってもいいほどないので、恐らく西部劇特有のシーンやストーリー展開にわくわくすることができていなかったと思います。
アクションやサスペンス・恋愛映画などを観るときには、単純にその映画のストーリなどを楽しむのと同時に、「あの映画のあのシーンみたい」とか「きっと次はこういうセリフを言うだろうな」といった自分の持っている記憶を思い出しながら楽しんでいるということを、今回改めて実感したのです。
 
とは言っても、やはりマット・デイモン演じるテキサスレンジャーのラビーフが見事に鉄砲を打つシーンやガラガラヘビのシーン(オリジナルを観たことのある父が真っ先に聞いたのが「ガラガラヘビのシーンあった?」でした)など、後半は引き込まれるシーンがたくさんありました。終わり方もあっさりしていてよかったなー。
ジェフ・ブリッジス演じる保安官コグバーンがヘイリー・スタインンフェルド演じるマティと馬に乗って駆けて行くシーンはピアノの音も映像もとても美しく、ようやくふたりの絆が見えるシーンになっていました。
 
そういえば、コーエン兄弟の映画「オ―、ブラザー!」もサウンドトラックが素晴らしいのです!
私の好きな映画サウンドトラック・ベスト3にランクインしています。
 
マティは14歳とは思えないしっかりとしたお嬢さん。
彼女よりも、コグバーンとラビーフというふたりのおじさんの方がよっぽど子供っぽくて(彼女の前でくだらないケンカしたりするの)笑っちゃいました。
ヘイリー・スタインフェルドは実際も14歳で、映画の中では役柄どおりキリっとした表情でしたが、今回助演女優賞にノミネートされていたアカデミー賞の授賞式では、とてもかわいらしいドレスを着て笑顔もとてもかわいらしいかったです。
 
ちなみに「勇気ある追跡」は、ジョン・ウェインが62歳でようやくオスカーを受賞した作品。
今年同じ役でジェフ・ブリッジスも主演男優賞にノミネートされていたので、受賞したらちょっとすごいなーと思っていましたが、まあ彼は去年受賞したばっかりなので、そううまくもいきませんでしたね。
 
これを機に私が西部劇を観るようになるかは・・・わかりません。
もうしばらくは父に任せておこうかな。


・Never Let Me Go
(「わたしを離さないで」 2010年 イギリス)
 
Spoiler Warning !! 

カズオ・イシグロ原作の映画化。
初日に観ましたが、どの回も満員でした。
まさに老若男女・男性ひとりの方・女性同士など、ほんとうにいろんな方が観に来ているなぁ、という印象でした。
原作のファンの方もいらっしゃるだろうし、もちろん映画としても話題で、若い男の子も若い女の子も出演しているからだろうなーと思いました。
 
キャリー・マリガン演じるキャシー、キーラ・ナイトレイ演じるルース、アンドリュー・ガーフィールド演じるトミーの物語。
キャリー・マリガンの子供時代を演じた子が、見た目も雰囲気もそっくりでびっくりしました。
 
彼女とキーラが強烈で、アンドリューは完全に引き立て役。
彼は来年公開予定の新しいスパイダーマンなのです!なんかわかる!
「好青年」にもいろいろあるけれど、トビー・マグワイアと似たような感じの好青年ですよね。
私が見たことのある彼の映画はなんだかかわいそうな役が多いので、早くスパイダーマンで元気いっぱいの彼を見てみたいです。
(ところで彼の映画デビュー作「大いなる陰謀」はちょー豪華キャストだった割にあまり記憶にないですねぇ。でも彼のこと覚えてますよ!ロバート・レッドフォードに絡んでくる学生さん役だったんだよね!)
 
私がこの映画で最も印象に残ったのは、トミーの「本当にふたりが愛し合っているか、その人間がどういう人間なのかは、作品を見ればわかる」というセリフです。
必ずしもそうじゃないかもしれないし、なにかの作品を作るにあたってそうあるべきというわけではないとも思いますが、私はこれはとてもロマンチックな考え方だなぁ、と思いました。
 
そしてもうひとつ印象的だったのは、彼らの性格・強さ、に関してです。
私はそういうものって、元々持っている素質に加え、やはり環境・経験が重要な要素だと思っています。
彼らの生まれについてはちょっとよくわからなかったですが(この映画を観る前は「ガタカ」っぽい話なのかな?と思っていました)同じような環境で同じように管理されて育っても、キャシーのように静かで慎重な性格になったり、ルースのように嫉妬深い性格になったりするのってとても不思議です。
 
また、介護士というのが名前だけの人が多い中、キャシーがその仕事を楽しんでいたことや、臓器の提供を始めて1回目で命を落としてしまう人がいる一方、トミーのように4回も提供できる、彼曰く「優秀なドナー」がいることもとても興味深いことでした。
これも、体の強さという基本的な要素以外に、その人が持っている性格も深く影響しているのだろうと思わずにはいられませんでした。

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