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The Lake House

Thelakehouse © 2006 Warner Bros. Pictures.

キアヌー・リーブスとサンドラ・ブロック主演の2006年公開作品。

これは2004年にいるアレックスと2006年にいるケイトが湖畔の家 (lake house) の郵便受けで繋がっているというストーリーで、一種のタイムトラベルものです。
以前「夏への扉」という小説についても書いた通り、タイムトラベルものにタイムパラドックスはつきものです。
この映画でも矛盾点を探せばそりゃあたくさんあるけれど、私は気になる箇所はまったくありませんでした。
まあ、こういう映画を観る時点でそんなことばかり考えていたら楽しくないということもあるし、そもそも私が意外と鈍感(?)で、「最初のシーンでもう結末がわかる」と言われているこの映画も、最後までまったく気づかなかったために楽しむことができたのです。

この映画はコンセプトどおり、2年の歳月をまたがって同じ時を生きているので、そのふたりの日々が並行して進んでいます。
例えば、2年前の今アレックスが木を植えると、その場所にいるケイトの前に木が現れます。
確かに2年前に木を植えたのなら昨日からそこにあったはずなのですが、時間がパラレルだと考えれば、アレックスが今植えたのでケイトの昨日にあるはずはないのです。
そうやって都合よく解釈すると、とてもよくできているストーリーだと思います。
これを初めて映画館で観たときはそこまで細かく観ていなかったですが「うまくできていた」という印象だったことは覚えています。
何年か経ってから見直して、好きな映画の仲間入りをしました。

この映画は、ケイトが2年前の出来事を思い出したり、アレックスの「今」を描写したりするので、時間的には2年を隔てて行ったり来たりしながら進んでいきます。
前のシーンの映像と次のシーンのセリフが重なって、とてもきれいにシーンが移っていくところがいくつもあります。
キャロル・キングの大ヒット曲「It's Too Late」も効果的に使われていて、私はこの映画を観るまでこの曲を知らなかったのですが、とてもいい曲ですね。

私はふだん公開を楽しみに待っている映画については、ネタバレをしないぐらい適当に情報収集をします。
しかし、この映画は観に行くつもりがなかったようで、ほとんど情報を得ないで観に行きました。
なので、映画の途中でダンスをするシーンに曲が流れてポール・マッカートニーの声だと気づいたときには昔の曲だと思っていました。その「This Never Happened Before」という曲は、この映画のエンディングにも流れる当時の新曲でした。
この映画を見直したときに、やさしい雰囲気のいい曲だなぁと思って、早速これが入っている「Chaos and Creation in the Backyard」というアルバムを購入しました。(*1)
このアルバムはポールらしい曲ばかりでとても気に入っています。

ケイトのお気に入りの小説であり、また物語の中で重要な役割を果たす小説として、ジェーン・オースティンの「説得」が出てきます。
私もこれをはじめ彼女の小説はいくつか読んだことがあり、映画化されたものも観ていますが「どれも似ているなぁ」という印象です。なので「もう読まなくていいや」と思うのですが、読んでみると必ず引き込まれてしまいます。
つまり「好き」ってことなんでしょうね。

彼女はイギリスの作家ですが、アメリカの映画やドラマなどで名前がよく出てきます。「ジェーン・オースティンが好きな女の子」というステレオタイプがあるのだと思います。
モンゴメリが著した有名な「赤毛のアン」シリーズはカナダが舞台で、オースティンとは時代も100年ほど違うにもかかわらず、私は似たような雰囲気を感じます。
特に、私がこのシリーズを5冊目までしか読んでいないので、知っているのがアンが20代ぐらいまでの物語だということも関係しているのだと思いますが、主人公の女性が知的なしっかりしたキャラクターで、それを尊重してくれる男性への想いをストレートに表現できない、という共通した設定や、舞台であるイギリス・カナダの風景や当時の習慣などが、私がよく触れているアメリカの小説・映画や自分自身の環境とは違っているため、それが新鮮であると同時に歯がゆいような愛おしいような気持ちになります。

この映画に出てくるケイトが私のイメージではオースティン・ステレオタイプではないところも、逆に私には好ましく感じました。
私自身もオースティン・ステレオタイプではないと思っていますが(それ自体が自分自身に対するイメージでもあるわけです)実際は彼女の小説が好きだし、人のイメージや好みというのは意外性に満ちていて、それが自分自身でも楽しいことだからです。

アレックスは建築家であり、偉大な建築家である彼のお父さんは、建築に明るくない私でも名前を知っているコルビュジェやフランク・ロイド・ライト(*2)の友人という設定になっています。
アレックスと弟(これまた建築家)の会話で「フランク・ロイド・ライト」が「大物建築家」という日本語訳になっていました。

英語で商品名を名詞として使うことはよくありますが、確かに「クリネックス」「ゼロックス」は日本語にするとしたらそのままではなく「ティシュペーパー」「コピー機」と訳します。
以前アメリカのドラマを観ているときも「セレブ」という表現をしたいときに、原語で言っているの俳優の名前と日本語吹き替え・字幕の俳優が違ったことがありました。それぞれの国での知名度によって、翻訳するときにわかりやすくしてくれているんですね。
特に同時通訳の方なんかは、とっさにわかりやすい例えをしなきゃいけないので、いつもすごいなぁと思います。

邦題の「イルマーレ」というのは人気のレストランの名前で、ここに予約を入れるシーンも、なるほどね!と感心してしまいました。(*3)
ケイトとアレックスが一緒にシカゴの街を一緒に散歩するシーンも大好き!

キアヌの映画はたいてい観ているけれど(あ、でも肝心の「スピード」はなぜか見ていない・・・)当たり外れが大きい俳優さんだなぁと思います。
同じようなラブ・ストーリーやアクションものでも、私の中ではきっぱりと評価が分かれています。

恋愛の要素が含まれている映画というのはたくさんありますが、明らかにそれがメインになっている、いわゆる「恋愛映画」で私が好きなものは、青春映画やサスペンスなどと比べると圧倒的に少なく、これと「プリティ・ウーマン」以外にはちょっと思いつかないぐらいです。
この映画にはバレンタインデーが出て来ます。1年に1日ぐらいこういう恋愛映画を観て素直に素敵だなぁ、と思うのにふさわしい日ですよね。

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*1 思えば、ビートルズ解散後のポールのアルバムを買ったのは初めてでした。
ジョージとジョンのアルバムはいくつか持っていますが、ポールに関しては、高校生ぐらいのときにウイングスのベスト盤をレンタルして聴いていたぐらいですねぇ、そういえば。

*2 フランク・ロイド・ライトとハロルド・ロイドとアンドリュー・ロイド・ウェバーの名前がよく混ざってしまいます。
ほら、あの喜劇役者ってなんていう人だったっけ?フランク・ロイドだっけ?とかね。

*3 「イルマーレ」というのは、この映画の元になっている韓国映画のタイトルなのだそうです。
このレストランは物語の中で重要な役割を担っているので、邦題に関して特に異論はありませんが、私は原題の「The Lake House」というのもとてもいいタイトルだと思います。

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