映画鑑賞日記・その17

・THE HELP (「ヘルプ~心がつなぐストーリー」 2011年 アメリカ)

1960年代前半のミシシッピ州。
女性は若いうちに結婚して専業主婦になるのが当然のこの街で、新聞社で働くスターキーがある本を出版するお話。

南北戦争後の奴隷解放宣言の時代から100年も経っているにも関わらず、この映画の舞台となっているアメリカ南部では、「分離すれども平等」という「ジム・クロウ法」により、白人優位と黒人差別が保たれていたそうです。

そんな環境の中、上流階級の白人たちは、黒人のヘルプ(メイドさんのことをこう呼ぶんですね。「お手伝いさん」って感じかしら?)と同じトイレを使うのを嫌がる(病気がうつる、という理由で)一方で、子供の面倒をみさせたり食事を作ってもらう生活をしています。
ほんとうに彼らが病気を持っていると心配しているならば、子供や食べるものにもさわって欲しくないはずなのに・・・。
つまり、自分たちの都合のいいように差別をしているだけなんですね。

自分が育て、子供の頃は誰よりもなついてくれていたお嬢さんたちが、大人になると自分たちに冷たく振る舞う。
そんなことが当たり前の環境の中、スキーターのように、そのことに疑問を持ち行動を起こすにはちょっとした勇気が必要です。
彼女の場合、結婚もしないで仕事をしている、ということも、この時代・この街では勇気ある行動になってしまいますね。

主婦コミュニティの女王様であり、スキーターの幼なじみでもあるヒリーの母親(シシー・スペイセク)のキャラクターがとてもよかったです。
認知症の気がありながら大らかでユーモアたっぷりの彼女は、実の娘がこんな風に育ってしまって、心苦しく思ってるんじゃないかしら。

私は、ヒリ―のように彼らを差別するにしても、スキーターのように彼らの味方になるにしても、自分が納得し胸を張って行動することが大切だと思います。
おかしいと思っているけどそうするものだから、といった理由だったり、自分が信じるもののためではなく意地でやっていたり、という風になってしまうと、きっと後悔してしまうんじゃないかな。

スキーターを演じたエマ・ストーン(彼女はもうすぐ公開される新しいスパイダーマンの映画でヒロインを演じています。これも楽しみ!)は、赤毛のアンでも演じさせたいようなそばかすだらけの顔がとてもキュートでした。(声はとってもハスキー)
彼女が着ていたお洋服は、他の登場人物たちのものほど華やかではなかったけれど、どれも自分で着たいと思うような素敵なものばかり。
そして、彼女とシーリアが乗っていた車は、私が最も「アメリカっぽい」と思うデザインのキャデラックでした。(車体が長いの!)
この車からも、ふたりが他の上品な奥さんたちとはちょっと違う、ということがわかります。

登場するキャラクターとそれぞれが取る行動がとてもわかりやすいストーリーだったので、2時間半という長さもまったく気になりませんでした。
そのキャラクターと行動には、いいものも、ちょっとどうかと思うものもありましたが、それぞれの立場や性格などから、そうせざるを得ないんだろうな、と思ってしまうのは、やはり私が歳を重ねたからでしょう。

私の大好きな「風と共に去りぬ」でも、オハラ家ではたくさんの黒人が働いていて、スカーレットの乳母も愛情深く豪快な女性でした。
彼らの関係はとてもいいものでしたよね。
そうやって雇い主といい関係を築いていた人たちもたくさんいたでしょうし、ほんとにつらい思いをした人たちもいたことでしょう。
長年差別を受けながらたくましく生きてきた彼らの忍耐強さにはほんとうに感心してしまいます。

オクタヴィア・スペンサー(この作品でアカデミー賞助演女優賞を受賞)とヴィオラ・デイヴィス演じる、ヘルプのミニーとエイブリーンが教会で拍手喝采を浴びるシーンはとても感動的でした。
エイブリーンの今後を案じずにはいられない終わり方だったにもかかわらず、あまり悲観的な気持ちにならなかったのは、やはり彼らの強さを目の当たりにしたからだと思います。

春の始まりに見るにふさわしい、爽やかな気持ちになれる作品でした。


・The Ides of March (「スーパーチューズデー・正義を売った日」 2011年 アメリカ)

ジョージ・クルーニー監督第3作目。この作品では脚本と出演も兼ねています。

この映画は邦題通りスーパーチューズデーが題材のストーリーですが、政治的な映画というより、その日を舞台にしたサスペンス・ドラマです。
原題である「The Ides of March」の「Ides」というのは、古代ローマ暦で月の中日の意味だそうです。
つまり、3月だと15日のことで、この映画の中でスーパーチューズデーにあたる日はこの日に設定されています。
この日はジュリアス・シーザーが暗殺された日で、シェイクスピアの戯曲の中で彼が預言者に「3月15日に気をつけろ」と言うのだそうです。
これを原題につけたのは、ストーリーにジュリアス・シーザー的なものを感じたからだとか。

ストーリーもキャラクターもわかりやすく安心してハラハラできました。
キャストが豪華かつ個性的。

まず、民主党の大統領候補マイク・モリスを演じるのはジョージ・クルーニー。
彼を崇拝しキャンペーンのサブ・マネージャーを務めるスティーブンには、今をときめくライアン・ゴズリング。彼はここのところ公開作が多いですよね。
このスティーブンは(仕事仲間としても恋愛対象としても)敵に回したくないタイプです。
あんなクールな顔で優しくされたらすごくうれしいけど、いちど怒らせたら大変ですきっと。
こんな男性を好きになってしまった場合は、彼のハートをがっちり掴んで一生離さない(つまり絶対敵に回さない)のが身のためです。

両陣営でマネージャーを務めるのが、フィリップ・シーモア・ホフマンとポール・ジアマッティ。
ふたりともさえないおじさん加減が同じぐらいでいいですね。
このふたりはおなかのお肉もいい勝負で、どっちのおなかが立派に見えるかの投票も合わせてやってもらいたいぐらいでした。
(フィリップ・シーモア・ホフマンは「マネー・ボール」で監督役をやっていたときにもすごいおなかだなぁと思いました)

鍵を握るキャンペーンスタッフのモリーにはエヴァン・レイチェル・ウッド。
彼女はウディ・アレンの「人生万歳!」では明るくかわいらしい女の子を演じていましたが、この映画では悲しそうな顔をしていることが多かったですね。
ま、どんな役でも彼女ほんとにきれい。

そしてニューヨークタイムズの記者アイダが登場したとき、マリサ・トメイに似てる?でも彼女にしてはちょっと歳とり過ぎ...?と思ったけど、やっぱり彼女でした。(彼女もう47歳なんですねぇ)
もう20年ぐらい前に彼女がロバート・ダウニー・Jrと共演した「オンリー・ユー」というロマンチック・コメディが印象に残っています。

この映画を観る数日前に「ヘルプ」という映画を観たときと同様、やはりどんな行動を取るにしても、自分の信念の通りに自信を持って行わないと空しい気持ちになってしまうよなぁ、と思ってしまうエンディングでした。
まあでも、特に政治のような世界ではそうするのは難しいだろうし、この映画の中でもあった、票を獲得するための駆け引きなんかは、実際もそうなんだろうなーと興味深く観ましたけど。

今年はこの映画が公開されるちょっと前にスーパーチューズデーがあり、秋には大統領選挙があります。
裏側ではどんなドラマが繰り広げられているのか想像せずにはいられませんね。

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人生最後の食事 (by デルテ・シッパー)

Photo© 2011 シンコーミュージック・エンタテイメント


ドイツの一流シェフ、ループレヒト・シュミットが料理の腕を振るっているのは、ロイヒトフォイヤーというホスピス。

数年前に「24時間後に自分が死ぬと知らされる」という内容の日本映画があり、テレビでその映画の紹介を見たときに、自分だったら24時間で何をするかなぁ?とぼんやり考えたことを思い出しました。

私がまず思いついたことは、普段時間があったらゆっくりやりたいなぁと思いつつできていないこと。

・英語の勉強
まあこれは、24時間後に死ぬとなったら確実にやりません。

・ヨガ
私は毎朝起きてすぐに20分間ヨガをやっているのですが、たまに、これをゆっくり1時間ぐらいやりたいなぁと思うことがあるのです。
しかし、じゃあ私はなぜ毎日ヨガをやっているのか?もちろん健康のためです。毎日体調良く過ごせるため。
ということは、24時間後に死んでしまうとしたら、これもやらないでしょうね。

あとは、単純に自分が好きなこと?

・映画鑑賞
今、24時間後に死んでしまうと想像しつつ、何か映画を観たいか?と自分に問いかけると・・・別に観たくないみたい・・・。
映画を観るときはもちろんそれ自体を楽しんでもいるのですが、なぜ観ているのかと考えてみると、今後の人生を豊かにするため、こうやってブログに感想を書いたり誰かと映画の話をするのが楽しいから、です。
まあ、ブログを書いて自分の記録として残しておくことは無駄にはなりませんが、やっぱりもう映画の話をすることもできないと思うと観ていても楽しくないんじゃないかしら。

・飛行機に乗ってみる
私は飛行機に乗るのが好きなので、「どこかに行くため」ではなく、ただ飛行機に乗っていたい、と思うことがあります。
でもこれも死んじゃう前だったらどうかしら?大好きな飛行に乗ったからって?

・家族や友人と共に過ごす
たぶん悲しくて泣きっぱなしになっちゃうと思います。自分が家族・友人側でもそうなっちゃうだろうし。

こうしてみると、普段深くは考えていなくても、私たちがやっていること(好むと好まざるとにかかわらず)は、やはり今後の人生がある前提なんですね。
そうすると私に思いつくのは、大切な人たちに手紙を書くことぐらいでした。
あとは、まあ24時間あればおなかが空くし眠くなるので、結局この本能的な欲求をかなえることかなぁ。

この本は、まさにその「食べること」が、もうすぐ死んでしまう状態の人びとにとってどういう意味を持つか、ということが(ちょっとだけ)わかるものです。

私が上記のことを考えていたとき、もちろん「美味しいものを食べる」という項目も思い浮かびました。
しかし、これも他のこと同様、ただ経験するだけではなく未来に繋がっているものだと思ったのです。
今まで行きたいと思っていた、でもお値段も高いしなかなかねーというレストランにようやく行くことができたとして、もうすぐ死んでしまうとわかっていながら美味しいものを食べて幸せと感じることができるのだろうか?

ループレヒトもよくこの質問をされるそうです。
そして彼は、「美味しいものことを考えていれば少なくともその間は、自分たちがここにいる理由を考えずにいられる」「健康だろうと病気だろうと、美味しいものが舌の上でとろけるというのは、誰にとっても気持ちいいことであるはずだ」と言います。

毎日のように生と死を目の当たりにする職業(こういった医療関係者や警察官など)についている人が私自身を含め親しい人にはないので、こういう本を読んだり映画やドラマでそういった場面を見ると、彼らはどうやってその厳しい日々を乗り越えているのだろう?と思います。
私が今まで携わってきた仕事ももちろん誰かの役に立っているのだけど、命や生活のライフラインに関わるような仕事ではないので、そういう仕事に就いている人は毎日緊張感が違うんだろうなぁ。(まあ、どんな職業でも私より緊張感持ってお仕事されてる方はたくさんいらっしゃるんですけど・・・)

この本でも当然「死」に関わる場面はありますが、メインはあくまで「食べること」に関するお話です。
ループレヒトはとにかく、毎日毎日入居者それぞれに合った美味しい食事を作ることに全力を注いでいます。
毎朝彼らの部屋に行って話をし、体調を見ながら個々に希望を聞くのです。
実際こういうことが行われているホスピスは世界でも多くはないでしょう。
この本を読んで、たとえそれが数日間であっても、苦しい最期のときにこのような食事をいただけることは、本人にとっても家族にとっても慰めになるだろうと思いました。

それはこのホスピスのモットーの通り。
「人の寿命を延ばすことはできないが、一日を豊かに生きる手伝いはできる」

彼らはよくループレヒトに「思い出の料理」を再現して欲しいとお願いします。
これは、本人たちがいくら詳しく説明してもまったく同じものを再現できるはずがなく(特に別の人が作った場合、彼らにも詳しいレシピはわからない)、また、その「美味しかった思い出」というのは味によるものだけではないので、非常に難しい作業なんですね。
「新婚旅行で食べた」「小さい頃大好きだったおばあちゃんが作ってくれた」など、個人的な記憶が絡んでいるのです。
(まさに、このブログのタイトル「I'll remember the feeling」と同じこと)
そのため、彼らから満足のいく反応が返ってくるとは限りません。
しかし、ループレヒトは「シェフとしてのプライドもほどほどにしないといけません。それができないならここで働く資格なんかありませんよ」と言っています。
「僕は自分の腕前に自信を持っていますが、それを優先させているようじゃだめなんです」

私は食に関するこういったノンフィクションの本が好きなようで、アメリカのシェフ、アンソニー・ボーディン(彼はディスカバリー・チャンネルの「アンソニー世界を喰らう」という番組に出ています。彼、ほんとに何でも食べるの!)が著した「キッチン・コンフィデンシャル」という本もとても興味深く読みました。

美味しいものを食べられる、というのはとても幸せなことで、それを作ることができる、というのはほんとうに素晴らしいことだと思います。
毎日美味しいものを食べるためには、自分で作ることができるようお料理のお勉強と練習をするか、あるいは、お抱え料理人を雇えるよう宝くじを当てるかですね。

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映画鑑賞日記・その16

・TOWER HEIST (「ペントハウス」 2011年 アメリカ)

ベン・スティラー、エディ・マーフィー、マシュー・ブロデリック出演のコメディ。
ストーリーや車が出てくるシーンなど、えー、そんな強引な!というところもありましたが、感想を聞かれたら単純に「おもしろかった!」です。

ベン・スティラーの映画って初めてでした。(と思ったら、「リアリティ・バイツ」は彼が監督と出演もしていて、「僕たちのアナ・バナナ」にも出てた、そういえば。ま、彼お得意のコメディが初めてってことね)

エディ・マーフィーは「48時間」「ビバリーヒルズ・コップ」他子供の頃からいろいろ見ているので、私にはお馴染みの俳優さん。

マシューくんは最近はこういうさえない人、あるいはいやな人の役が多いですねぇ・・・。
若い頃はかわいかったんですよ。
(ちなみに、私が選ぶ彼のベスト・ムービーは1989年の「ファミリービジネス」。これ大好き!)

その他、ケイシー・アフレック、ティア・レオーニ、ガボレイ・シディベなど、キャスティングとそれぞれのキャラクターがわかりやすかったのも映画を楽しめた要因でした。


・Beginners (「人生はビギナーズ」 2010年 アメリカ)

脚本も手掛けたマイク・ミルズ監督の実体験を基にしたストーリー。
ユアン・マクレガーとクリストファー・プラマー(この映画でアカデミー助演男優賞を受賞)が父子を演じています。

ユアン・マクレガーの映画はそんなにたくさん観たことはありませんが、彼はよくこの映画のオリヴァーのような、物静かでちょっと頼りない役を演じている印象です。(「彼が二度愛したS」とか「ゴーストライター」とかね)
クリストファー・プラマーは「お父さん俳優」ですね。
英会話の先生に「彼っていつも誰かのお父さんじゃない?」って言ったら、「『サウンド・オブ・ミュージック』で有名なお父さん役だったからねぇ」と言われて、彼がトラップ大佐だったことに気づきました。(遅い)
私がよく覚えているのは「イルマーレ」でのキアヌの、「理想の恋人.com」でのダイアン・レインのお父さんです。
まあ、あれぐらいの歳になればだいたい子供とか孫がいる役になるので不思議ではないですね。
最近では「ドラゴン・タトゥーの女」でも一家のお父さん役だとか。

マイク・ミルズ監督の「サムサッカー」もそうでしたが、ストーリーはきちんとしているけれどなんだかとらえどころのないふわふわした雰囲気を持った映画っていうのかなぁ。こういうの意外と好きなんです。とても素敵な映画でした。

私は動物が得意ではなく、犬やねこが出てくる映画で特に印象に残っているものはないのですが、この映画に出てくる犬はとてもいい役だったなーと思います。オリヴァーとの会話がキュートでしたね。

オリヴァーとアナは一緒にいるとほんとうに楽しそうで、とてもお似合いのカップルでした。
お互いとても大切に思っているのにその関係に怖気づいてしまったり、やっぱりきちんと話をしなくちゃと思ったり。
アナがオリヴァーと一緒に住もうと引っ越して来たときに、ふとしたことで泣きだしてしまうシーンがありました。
オリヴァーはなんで彼女が泣きだしたのかわからずにおろおろしてしまうのですが、私には彼女の気持ちがとてもよくわかりました。
そういったちょっとしたことまで自然な感じで、特に30代40代で恋をしている人であれば「わかる!わかる!」っていうシーンがたくさんあるんじゃないかしら。

私が特に気に入ったキャラクターはオリヴァーのお母さん。
あまり幸せそうではなく笑顔もあまり見せないけれど、根がユーモアあふれる女性なんですね。
まじめな顔をしてふざけたことをしたり、変なこと言ったり。
子供の頃は、こういう親がいるといろいろ大変だったりおもしろさを理解できなかったりしますが、大人になってから思い返すと、きっと素敵なお母さんだったと思うはずだし、そんなお母さんに育てられたことは確実にその人の人間性に影響を与えていると思います。

マイク・ミルズ監督はこれからどんな映画を作ってくれるのでしょうか。楽しみですね。


・IN TIME (「TIME/タイム」 2011年 アメリカ)

ジャスティン・ティンバーレイクとアマンダ・サイフリッド主演のSF映画。

私はSF映画というと予告を観ても興味がわかないものが多い中、なぜかこの映画はおもしろそうだなーと思い、観てみたら予想以上に興味深い内容でした。
同じく、なんで初めにおもしろそうだと思ったかわからないけど観てみたらとても気に入った「ガタカ」というSF映画があり、この「TIME」を観終わってから、監督が同じアンドリュー・ニコルだったことを知りました。
(「ガタカ」で私がもっとも気に入っているのは、自然に生まれた子供のことを「神の子」って呼ぶこと。ロマンチックだなぁと。)

舞台は近未来。この世界では時間が通貨としても使われています。
すべての人々は25歳で成長がストップし、その後の寿命は人によって様々。
貧しい人々はいちにち働いていちにち分の時間を手に入れ、裕福な人々は何百年もの時間を持っている。
とてもおもしろい設定でした。
この設定ゆえに、登場人物は見かけが全員25歳なのです。
当然演じている俳優さんたちもみんな若い。これってとても珍しいですよね。
一見したところでは何歳なのかわからない。
登場人物の男性の、娘・妻・母が並んでいるシーンがありましたが、見た目はみんな25歳なのでどの人が何なのか判断できないのです。
親子なのか恋人なのか、聞かないとわからないっていうのもちょっと不便ですね・・・。(ナンパとかしづらそう)

身体は若いままとはいえ、100年も生きているとやはり精神的に疲れて来るようで、裕福な人々は人生に飽きてしまっています。
裕福ゾーンとスラムゾーンでは、街の色彩やカメラワークも違ったものになるよう工夫したそうです。
裕福ゾーンでは、長年目にしていても疲れないような風景にゆったりとした動き。
スラムゾーンに落書きはまったくなく(彼らにそんなことしているひまはない)人々は時間を惜しんで動きまわる。

街並みだけではなく、服装にも違いがあります。
貧しい人々は着替えなどに時間をかけられないのでシンプルな服装、そして裕福な人々はボタンがたくさんある(=着るのに時間がかかる)ような豪華な服装。
アマンダ演じるシルヴィアのお洋服がどれも素敵でしたねー。

彼女が着ていたのは、ダークな色合いで上半身はタイトなシルエット、スカートはふわっとしたミニというデザインが多くて、私が特に気に入ったのは、フェンディとオープニング・セレモニーのワンピース、ドリス・ヴァン・ノーテンのドレス。(素敵だったなー。あんなの着てみたいなー)
彼女は「クロエ」という映画でもかわいらしいお洋服を着ていましたね。

靴はサンローランやプラダ、フェラガモなどのピンヒール。(どれも11cmはありましたねぇ)
そんな靴で思いっきり走っていて、足痛そうだなーってそればかり気になってしまいました。
ブランドの靴は走るとき用の「スタント・ヒール」という、デザインは一緒だけどヒールが低い(っていっても、7cmぐらいあるんだって!)ものがあるらしいです。
でもアマンダも、インタビューで痛かったって言ってました。そりゃあ、あれだけ走ればねぇ・・・。
「Sex And The City」でキャリーを演じていたサラ・ジェシカ・パーカーもよくヒールで走っていましたよね。
ほんと女優さん尊敬しちゃう!

この世界では、人々は親子や恋人など、親しい人たちに時間を分け与えます。
私が最も興味を持ったのは、この「与える」行為。
自分が持っている時間は自分で稼いだものだけど、親しい人に時間を分け与えるというのはとても自然なことで、私もこのような世界に生きていたら同じことをするでしょう。だってお互い分け与えないと、一緒に時間を過ごすことができません。
しかし、今、自分が毎日働いて稼いだお金を家族や恋人と平等に分け合うか?と聞かれたら、やだー、私のお金だもん、って思ってしまいます。
時間ほど寛大に与えることはできないなぁ。(あ、でも、家族を養うってそういうことですよね)

普通はバス代がなければ歩けばいいし、おなかが空いてお金がなかったらとりあえず寝ちゃえばいいわけですが、この世界ではのんびり歩いたり寝ていたりしたら時間切れで死んでしまいます。
お金は「今日は無駄遣いしてもいい日」なんてありませんが、時間に関しては「今日はのんびりしちゃおう」って思ってしまいます。(私は)
この映画のような世界に(貧しい人として)生きていたら、日々もっと時間を有効に使おうと思うでしょうね。

私たちの世界では、例えばマッサージ30分3000円、といったように、時間でその値段が決まることがあります。
それが、通貨が時間の世界だと、ホテル1泊1か月、売春10分1時間、となるわけです。紛らわしいなぁ、もう。
でもこれは逆に、値段(=時間)の価値が非常にわかりやすいと感じました。
なんていうか、例えば30分のマッサージに3000円の価値があるかどうかは人それぞれです。
もちろん通貨が時間になってもそれは同じなのですが、1泊なのに1か月・10分なのに1時間、と言われると、払えるかどうか・価値があるかどうかは置いておいて、誰もが単純に、高くない?って思うんじゃないかな。

ウィルが働いている工場で作っていたものが、物語の中でも何度も登場する、アルミっぽい感じの四角い時間を貯めておく貯金箱みたいなものでした。(あれは使い捨てなんだろうか?)
未来っぽいスポーツカー(ジャガーのXK-E・ロードスター)もかっこよかったし、高架もちょっとおしゃれな感じでした。

この映画で主人公ウィルを演じているジャスティン・ティンバーレイクは「ソーシャル・ネットワーク」で俳優として評価されて以降、公開映画が続いていますね。
歌手としてもあれだけ人気があるから当然なんだけど、彼はとてもカリスマ性がある俳優さんなので、これからもたくさん映画に出て欲しいです。

この映画は、絵的にも楽しめることがたくさんある上に、ストーリーもキャスティングもよかったので、お気に入りの1本になりました。

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映画鑑賞日記・その15

・Mission:Impossible - Ghost Protocol
(「ミッション:インポッシブル / ゴースト・プロトコル」 2011年 アメリカ)

「ミッション・インポッシブル」シリーズの4作目。

ブライアン・デ・パルマ監督の1作目は大変おもしろかったのですが、ジョン・ウー監督の2作目でバイクが飛ぶシーンに驚いてしまったため、3作目は観ていませんでした。
今回、いろいろあったトム・クルーズ(主に私生活で)が復活!ということと予告がおもしろそうだったので、今年初めての鑑賞映画となりました。

トム・クルーズはほんとうにカリスマ性のあるムービースターだなーと思います。
彼が今年50歳って、いろんな意味で信じ難い・・・。
(私が中学生の頃「スクリーン」という雑誌を毎月飽きるほど読んでいた頃は、当然彼も20代でした)
とはいえ、やはり今でもハンサムでエネルギッシュなのは変わりませんね。

警備員の目をごまかすのに、へーこんなことできるんだー、というシーンや、例の高層ビルを昇っていくシーンなど、ハラハラドキドキしながら楽しめました。
彼が全力で走るシーンは、私がお正月に太ってしまった直後だったので、見ているだけで苦しかったです。

そして、なんといってもこの映画はテーマ曲がいいですよね!
この映画をはじめ「インディー・ジョーンズ」や「スターウォーズ」など、名テーマ曲を映画館で聴くと、それだけでも観に来てよかったなぁと思います。

このシリーズはもうこれでおしまいなのか?50歳を過ぎたトム・クルーズでまだまだ続くのか?(キャストが変わるっていうのは難しそう)楽しみですね。


・J.Edgar (「J・エドガー」 2011年 アメリカ)

クリント・イーストウッド監督、レオナルド・ディカプリオ主演。
約50年もの間FBI長官を務めたジョン・エドガー・フーヴァーの生涯を描いたドラマ。

最近ではドラマでもよく目にする「科学捜査」というものを最初に始めたのが彼だそうです。
それ以前は犯人を指紋で特定するということはなかったんですね。
そういった捜査の歴史もおもしろかったのですが、なにしろ私にとってFBIというのはドラマや映画の中のものです。
これがアメリカ人であれば、きっとニュースなどで彼らのことを耳にしているだろうし、フーバーも誰もが名前は知っているぐらいの有名人だし、さらには大統領の秘密などといった要素も絡んでいるので、もっともっと興味深く鑑賞することができただろうなぁと思いました。

図書館で本を探すときに使われているインデックス。
あれも彼が考えた、というシーンがあることからもわかるように、彼は非常にorganizedな性格だったようです。

鑑賞前には、大統領の秘密をつかんでゆすりをしていたことや彼が同性愛者だったことなど、スキャンダラスな要素が前面に出ているのかしら?と思っていたのですが、実際はしっかりして野心を持っている若い青年の性格描写や、生涯公私ともに連れ添ったトルソンとの関係などが丁寧に描かれているとても切ないストーリーでした。(まあ、イーストウッド監督の映画なのでそんな下世話な内容になるわけないですよね)

トルソンを演じたのはアーミー・ハマー。
彼は昨年の「ソーシャル・ネットワーク」でも重要な役を演じていました。
彼は「ゴシップ・ガール」というドラマにも出ていたのですが、この映画ではそのドラマでメインキャラクターのひとり、チャックを演じているエド・ウェストウィックがちょい役で出ていました。(知らなかったからびっくりしたよ)
そのアーミーとディカプリオは劇中老けメイクのシーンも多かったので、時間を行き来する中で若い頃のシーンに移ったときには、彼らの美しさが際立っていました。

若い頃に彼と出会い、歳をとってからもずっと彼を支え続けた秘書のヘレンがとてもいい役で、この女優さん誰だろう?と思いながらエンドロールを見たら、ナオミ・ワッツじゃないですか!
彼女がこの映画に出ていることはきっとどこかで目にしていたはずなのに・・・。
老けメイクの顔はともかく、若い頃の顔を見てもまったく気付きませんでした。
彼女の顔よく知ってるつもりだったんだけどなぁ?

この映画でもっとも印象に残ったのはフーヴァーとトルソンの関係の悲しさ・切なさです。
同性か異性かということに関わらず、カップルであるということは、やはり公にすることでまたその関係性も変わってきます。
別に愛し合っていることを人に見せびらかすためではないけれど、そのふたりがパートナーとして他人に認められるというのは、自分と相手をひとまとまりとして考えられる、相手を自分のことのように考えられる、といった意味で非常に重要なことだと思います。
秘密にしなければならないような関係にあるとストレスもたまってきます。
私がこの映画で彼らを見ていていちばん感じたのはそのようなことでした。
その関係を隠しているだけでなく、自分自身にさえその愛を認めることができない、というのはとても悲しいことです。
特に当時は同性愛者の人たちにとってはつらい時代だったことでしょう。
ふだんは意識していないけれど、愛する人を愛しているとオープンに言えるのは幸せなことなんだなぁと思いました。

ベッドルームで倒れたフーヴァーを抱きしめるトルソンと、機密文書をひたすら守るヘレン。
そのふたりがいたからこそ、彼はFBI長官をこんなにも長く務めることができたのですね。
信頼って大切、と思わせられるエンディングでした。

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映画鑑賞日記・その14

・Henry's Crime (「フェイク・クライム」 2010年 アメリカ)

キアヌ・リーブス主演のクライム・コメディ。

原題のHenryは彼の役名なのだけど、なぜか邦題は「フェイク・クライム」・・・。
これはもしや、2008年の同じくキアヌ主演作「Street Kings」がなぜか「フェイク・シティ」という邦題になっていたことと関係が?!
私の予想では、次回の彼の主演作「47RONIN」が「フェイク・サムライ」とかいう邦題になって、「キアヌ・リーブス フェイク3部作」になるんです、きっと!
(「47RONIN」は忠臣蔵をモチーフとしたお話なので、さすがに「フェイク・サムライ」はないですね)

それにしても、キアヌの出演作はどうしてこんなに当たり外れが大きいのでしょう?
アクションでも恋愛ものでも、私の好ききらいはきれいに二分されます。
しかも、その当たりも外れも、この20年継続して両方存在するということが、むしろもう素晴らしいと思えるぐらいです。(うそです)

ジェームズ・カーン(彼、ベテラン俳優さんですが、私は「ラスベガス」ぐらいしか知らないですねぇ)が、何十年も刑務所に入っていて居心地がいいから出所したくない、と言うシーンがありますが、これ、映画の中でよく聞きますよね。
実際でも、イギリスかどこかの刑務所では出所したくない人がたくさんいるというニュースを聞いたことがあります。
確かに衣食住が保障されているといえばそうなのですが・・・。

キアヌの相手役を演じたヴェラ・ファーミガという女優さんは、ジョージ・クルーニー主演の「マイレージ・マイライフ」でも似たようなさばさばした性格の女性を演じていました。
この映画では大根役者を演じているのですが、実際地方の小さい舞台俳優さんの中には、こういう笑っちゃう感じの人がいるんだろうなーと思いました。そりゃ、あんなセリフの言い方じゃ監督も怒るわ。

というわけで、キャスティングは大変よかったと思います。


・30 Minutes or Less (「ピザボーイ 史上最凶のご注文」 2011年 アメリカ)

ルーベン・フライシャー監督、ジェシー・アイゼンバーグ主演という、「ゾンビランド」コンビの最新作。

この原題「30 Minutes or Less」というのは、ピザ屋さんの「30分以内にお届け」という意味です。
この原題をここまでキャッチー(?)な邦題に変えるって、考えた人すごいな。
しょーもない邦題ですが、この映画の雰囲気には合っていたし、「ピザボーイ」ってまさに主演のジェシーの宣伝のようなので、そういった意味ではいい邦題でしたね。

この「30分以内にお届け」というのは、事故に繋がるといった理由から今は実施されていないようですが、確か20年ぐらい前にはピザの宅配で「30分以上かかったら代金不要」などの売り文句になっていたと思います。
日本では、30分ぐらいで届けられるような近い店舗で注文を受けるシステムになっていますよね。
それがこの映画では、(日本ではバイクだけど)車で飛ばしても30分では厳しいような遠い家にも届けていて、さすがアメリカ広いなーと、そんなことで感心してしまいました。

ピザボーイがピザを届けた二人組に捕まり、彼らの代わりに銀行強盗をしないと体に巻きつけた爆弾が爆発する、というハチャメチャなストーリー。
ジェシーは相変わらず早口でちょっと自信のない青年の役がとてもかわいらしかったです。
カーチェイスのシーンはかっこよかったし。
彼の相棒を演じたアジズ・アンサリは人気コメディアンなんですって。
おしゃべりが上手(当たり前)で、ジェシーとのコンビも絶妙でした。

あと、この映画、脚本家さんか監督さんかわからないけれど、製作者の性的嗜好が思いっきり表現されていましたねぇ・・・。
はじめはちょっとあからさまだなぁと思っていましたが、最後までそれが続くのでなんだかだんだん好感を持つしかなくなってきて、最後は大笑いできるぐらいになりました。
(男の人好きだよね)


・New Year's Eve (「ニューイヤーズ・イブ」 2011年 アメリカ)

ゲイリー・マーシャル監督の群像劇。
2010年に公開された「バレンタイン・デー」の姉妹編(続いているわけではないので「続編」ではないかな・・・)のような映画です。

とにかく素敵な映画でした!
こういう、感動的なシーンやユーモアが程よく入ったストーリーに、豪華キャストとアメリカらしい文化や風景がプラスされたお手本のような映画がきらいな人っていないんじゃないかしら。

私が大好きな「プリティ・ウーマン」も彼が監督をしている映画。
これも恋愛映画のお手本です。

数組の男女・親子などによる小さな物語が、年明けの瞬間に向けて進行しています。
私が特に観ていて楽しかったのは、ミシェル・ファイファーとザック・エフロンが、やり残した「New Year's resolution」を片っ端から実現していくお話。
ふたりとも私はあまりなじみのない俳優さんですが、仕事に嫌気がさしているさえないイングリッドと若くて自信満々のポールのコンビがとても合っていたと思います。

この映画には、私がよく観ているドラマに出ている俳優さんがたくさん出ていました。
「Sex And The City」のサラ・ジェシカ・パーカー、「グレイズ・アナトミー」のキャサリン・ハイグル、「ラスベガス」のジョシュ・デュアメル、「24」のチェリー・ジョーンズ。
彼らは今あげたドラマでもいい役ですが、この映画でもみんな素敵なキャラクターでした。
「Sex And The City」で靴が大好きなキャリーを演じていたサラ・ジェシカの役には、劇中、そしてラストシーンまで、靴が重要な役割を果たしていました。
また、実生活で彼女のだんなさんであるマシュー・ブロデリックがタイムズ・スクエア協会の会長さん役でゲスト出演していたのも、サプライズで楽しかったです。

大晦日を外で、パーティーで、こうやってわいわい過ごす、そして年越しの瞬間には愛する人(または近くにいる人)とキスをする、というのを映画やドラマで見ると、やはりアメリカは「キス文化の国」だなぁと思います。
クリスマスのときにヤドリギの下に一緒にいる男女がキスをしないといけない、というのも「キス文化」ならではですよね。
映画の中に登場するボール・ドロップで、年越しの瞬間に警備員の男性がいちばん近くに立っている女性とキスをしていたのも微笑ましかったです。

私がこの映画を観に行ったのは大晦日ではなく12月28日でしたが、この映画のポジティブなメッセージに影響されて、その後の数日間は新しいいちねんが始まる年越しの瞬間がとても楽しみでした。

私の2011年公開の映画初めは「ソーシャル・ネットワーク」、そして映画納めはこの「ニューイヤーズ・イブ」。
素敵な映画ライフを送ることができて、とても幸せないちねんでした。

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The Social Network

Tsn © 2010 Sony Pictures.

今年1月に公開された話題作。

私はこの映画を公開日に観に行ったのですが、その後公開中になんと合計4回も観に行ってしまいました!
もちろんサントラも購入したし、5月に発売されたDVDは予約をして買いました。
映画館に2回観に行った映画というのはありますが4回は初めてだったし、ここまで気に入った映画はほんとうに久しぶりでした。

なので、いつにも増して書きたいことがたくさんあります。


・キャスティング

まず、なんといってもキャスティングが素晴らしい!
メインキャストを演じたのは、ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク。(3人とも長い名前だな)

マーク・ザッカーバーグを演じたジェシー・アイゼンバーグは今までも何度もコンピューター・ギークを好演している俳優さん。
あれだけの量の早口のセリフをさらりとクールに話すのを観ていると、尊敬の念が湧いてきます。
オープニングのシーンを99テイクも演じたのは有名な話。
監督のデヴィッド・フィンチャーの狙いは、何度も演じることで力が抜けて演技っぽさがなくなる、ということだそう。
まさに「習うより慣れろ」ということですね。

エドゥアルド・サベリン演じるアンドリュー・ガーフィールドは来年公開される新しいスパイダーマンなのです。好青年ですよねー。
彼は「BOY A」や「私を離さないで」などの作品でも誠実で繊細な役を演じていますが、そのルックスとイメージからもこのエドゥアルド役にぴったりでした。

ショーン・パーカー役のジャスティン・ティンバーレイクは有名なシンガー。
私は彼の名前はゴシップ記事で目にするぐらいだったので、「プレイボーイ」というイメージがあるだけで顔も知らないような状態でした。
この役にはそのイメージが合っていたように思うし、彼に「Napster」という音楽業界ではいわく付きの会社の設立者をあえて演じさせたことも(彼自身もインタビューでこの役を演じることにリスクはあった、と言っていました)キャスティングの人すごいなぁと思いました。


・スピード感

オープニングのギターの音とバーのざわめき、マークのまくしたてるようなセリフ。
始まって10秒ぐらいでもうすでに、この映画のペースに飲みこまれてしまいました。

そして、それに続くハッキングのシーン。
ここは何度観てもゾクゾクしますねー。(特にマークが手をひらひらさせるシーンと「Let the hacking begin」のセリフ!)
私は日常で普通にパソコンを使ってはいますが、ハードについてもソフトについても全くと言っていいほど知識がありません。
しかし、このハッキングのシーンは、私ぐらい知識がなくても何をしているところなのかを十分に理解することができました。
脚本のアーロン・ソーキンも、このシーンは自分で書いたのにわからない言葉がたくさんあると言っていたけれど、これだけテンポよくわかりやすく表現するって、彼も監督も俳優さんたちもすごいな!

もうひとつとても印象的だったのは、ショーン・パーカー登場のシーン。(あ、スタンフォードじゃなくて、マークたちと初めて会うとこね)
クールでスマートな振る舞いの彼に、マークとクリスティが完全に魅了されている様子が、スローモーションの映像と大音量の音楽(場面が法廷に移るとその音楽がピタッと止む)によって効果的に演出されていて、そのシーンが終わった後にはマーク同様ため息が出ました。


・SNSというもの

このストーリーは実在のSNS「Facebook」を設立した実在の人物を題材にしているので、どの部分が事実なのか?フィクションなのか?といったデリケートな問題(特に関係者にとって)も話題になりました。

繰り返しになりますが、ストーリーなど映画として大変素晴らしかったので、もはやフィクションかどうか、という点は私は全く気になりませんでした。
しかしながら、やはり観客である私たちにとって身近な存在になりつつある「Facebook」が題材になっていて、私たちも顔を知っている「マーク・ザッカーバーグ」という人物の物語、という設定は、これが全くのフィクションであるよりもあらゆる面でプラスになったと思います。
「世界最年少の億万長者とその親友が仲たがいする」なんて設定は(事実かどうかは置いておいて)全くのフィクションより実在の人物の方がスリルがありますよね。

当然、製作側とFacebook側でいろいろあったようですが、結局はこのような映画が製作できるってすごいですね。
マーク・ザッカーバーグは公開前にこの映画を見て、彼を演じたジェシーのいとこ(偶然にもFacebookのスタッフなんですって)に、「君のいとこはいい演技をしてたね」と言ったそうだし、公開後にジェシーが「サタデー・ナイト・ライブ」という番組に出たときには、本物のマークが登場する、という演出がありましたが、とってもいい雰囲気でした。

登場するSNSが実在がどうかは関係なく、あー、これあるあるー、というシーンがいくつか出て来たのもこの映画を楽しめた要因です。

エドゥアルドの恋人クリスティが、彼の恋人ステイタスがなぜ「シングル」のままなのかを問いただすシーン。
彼の答えは「どうやって設定を変更するのか知らないんだよ!」
これ、いかにもありそう。まあ、実際の設計者(マーク)であればそれはないでしょうけど、エドゥアルドはCFOです。
会社の偉いポジションにいる人が、その会社の製品をよく知らないって身近でもよくあることです。(恥ずかしいことですけどね)
ちなみにその後の「シリコンバレーのアバズレは、Facebookの恋人ステイタスなんか気にしないよ!」というセリフは笑えました。そりゃそうだ。

さらに終盤、立派になったオフィスで登録者数がいよいよ100万人を突破する、というシーン。
ショーンがもうそろそろかな?と確認したときは、999,942人です。
それからちょっとおしゃべりをしている間、わずか1分後(DVD観て計っちゃった)に再度更新すると、すでに1,000,046人に達していました。
1分間で100人登録。
それは、今この時代に身を置いていなければ想像するのが難しかった数字だと思います。

そして、いちばん最後のシーン。
エリカに友達リクエストを送ったマークは数秒ごとに更新ボタンを押しています。

その昔、手紙がコミュニケーションの手段だった頃は、「自分が書いてから相手が読む、そして、相手が返事を書いてから自分が読む」この往復に何日もの時間がかかりました。
私が手紙よりもメールをよく使うようになった頃、まず、この「書いてから相手が読む」の部分に時間がかからなくなったことがとても便利だなぁと感じました。
しかし、すぐに返事を書くかどうかはまた別の問題。

その後、この部分の時間が短縮されたのが、SNSの時代だと思います。
例えば私が毎日お世話になっているTwitter。
これはもうほとんどチャットなので、1分と間を空けずに会話のやりとりをすることが多くあります。
(もちろん毎回誰もがその速さではないし、何時間・何日経ってから返事をする、ということもありますが)
これはTwitterに限らず、日々仕事でもプライベートでもパソコンの前に座っている人、そしてその時間が増え、また、スマートフォンの普及により、歩きながらでもそれらのサービスをチェックできるようになったからです。
実際にすぐにリアクションを起こさない場合・人もありますが、「すぐに反応する」という意識が以前よりも自然になってきていますよね。

もし、手紙しかない時代の人がこの最後のシーンを見たとしたら、そんなに早く返事が来るわけないじゃない、と思うでしょう。
しかし実際は、Facebookの友達承認なんて、すぐに気づいてすぐに反応すればそれこそ1分もかかりません。
マークが数秒ごとに更新をするどこかのタイミングで、エリカが承認することもあり得る。
この感覚をすんなりと考えるまでもなく理解できるのは、身を以って体験しているからです。

ひとつだけ、このシーンに関して違和感を感じたことがありました。
エリカとマークがほんとうに映画に描かれていたような関係だったとしたら、エリカはFacebookに登録しないよね。


・印象に残ったセリフ

ショーン・パーカーがまさに初めて登場するシーンは、スタンフォード大学のエイミーという女のコの部屋。
このエイミーを演じたのはダコタ・ジョンソンという女優さん。かわいいコだなーと思ったら、なんと彼女ドン・ジョンソンとメラニー・グリフィスの娘さんなんですって。
言われてみればお母さんに似てますね。(お尻のドアップしちゃうところも、ちゃんとお母さんの血をひいてるな、と思いました)

彼女がショーンの正体を知って、「I just slept with Sean Parker?」 と聞いた後のショーンの答え 「You just slept ON Sean Parker」 は、この映画の中で私がいちばん笑ってしまったセリフでした。

そして、この映画の中で最もぐっと来てしまったセリフは、Facebookが会社として大きくなりつつある頃にエドゥアルドが感慨深げにマークに言ったひとこと。

「Remember the algorithm on the window at Kirkland?」

なにかを作り上げるってこういうことですよね。


・友情

この映画の宣伝文句では、マークが裏切り者のようになっています。
まあ、実際大金が絡む裁判になっているのは事実ですが、少なくとも私はこの映画を観て、「マークが悪い」という印象は受けませんでした。
なんていうか、この映画を観終わったときに「悪いのは誰か?」ということを考える必要はまったくなかったです。

マークの性格に関しても「嫌な奴」というより、こういう人いるよねって感じ。
私は誰にでも愛想がいい人ってちょっとうさんくさいと思ってしまうたちなので、マークがエドゥアルドにつれない態度を取るのはそれだけ信頼しているんだと感じました。
彼のように誰にでも愛想良くできない人は、親しい人以外にはつれない態度を取るというより近づかない、話さないようにすると思うのです。
なので、マークがFacebookのことを考えるのに夢中になりながら、そっけなくはあるけれどエドゥアルドと会話をしているシーンなんかは、よっぽど気を許しているんだと思いました。

私が好きなシーンのひとつである、スタッフ選定のためにハッキングのテストをするシーン。
エドゥアルドが、なんでいちいちお酒を飲ませるの?と聞いたとき、マークが「チキンを1週間連れて歩く方がいいか?」というセリフ。
彼はすぐに「ごめん、意地悪だった」と謝りますが、これくらいのジョーク(まあ、ちょっときついけど)、家族や親しい友達になら私だって言っちゃうなぁ。

彼は自分には友達があまりいないと思っていますが、学生時代よりもいろいろな人と知り合うことができている今(30代)になっても、ほんとうに友達と呼べる人なんて、そうたくさんはいませんよね。
冒頭のFacemashのシークエンスで、マークを含め数人がパソコン覗き込んでいるシーンや、Facebookという会社を作る上で協力してくれる友達が数人(も)いる、ということを考えると、私には彼はそんなに孤独を感じることはないのに(まあ、実際本人は感じてないかもしれないですけどね)と思いました。

終盤、立派になったFacebookのオフィスでマークとエドゥアルドが言い合いをするシーン。
あのけんかは彼らがお互いを大切に思っているからこそで、私は観に行った4回ともここで泣いてしまいました。


・ロングラン

通常は映画が公開されると上映期間は1か月ぐらいですが、これは2か月以上もやっていました。(だから4回も観に行けた)
「私の周りでふだん映画を観ない人が観に行っていた」とか、「ふだん映画の話をしない人がこの映画について熱く語っていた」とか、「映画好きな人の中でもリピーターが多かった」などから、日本でもかなり話題になったという印象でした。
日本・海外を問わず、いろいろな場面で(映画関係ではなく、ビジネス関係のサイトや雑誌などでも)この映画の感想・紹介が載っていたのも興味深かったです。その内容も、さまざまな見方・解釈があるなぁと思うものばかりでした。

作品・監督・主演男優などでアカデミー賞にノミネートされながら惜しくも獲得はなりませんでしたが(脚色・編集・作曲では見事受賞)、この映画は今年を代表する映画だったと思うし、10年後・20年後に、昨年からTOHOシネマズで上映している「午前十時の映画祭」のようなイベントがあったら、きっとこの映画はラインナップに入るだろうと思います。

「ソーシャル・ネットワーク」は今年新作公開された映画で私がいちばん最初に観に行った映画で、その後もたくさんのいい映画に出会いましたが、やはり年末になった今振り返っても2011年のベスト・ムービーはこの作品でした。

さまざまな出来事があり特に印象深いいちねんとなった今年、このような映画に出会うことができて、私はほんとうに幸せでした。


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映画鑑賞日記・その13

・You've Got Mail
(「ユー・ガット・メール」 1998年 アメリカ)

12年(!)前に日本でも大ヒットしたロマンチック・コメディ。
なぜか今まで観ていませんでした。こういうお手本みたいな映画好きなのにね。

これはようやく日本でもEメールが一般に普及し始めた頃です。
私が初めてメールを使ったのも大学在学中の'97年でした。
メールが届いたときのわくわく・ドキドキした気持ちを多くの人が体験し始めた頃だったからこそ、この映画がヒットしたのでしょうね。

この頃のノートパソコンはこれくらい厚かったんだなー。
'80年代の映画でパソコンが登場するものも多数ありますが、当時は最先端っぽい印象を受けていた当時のパソコンは今見ると「でかっ!」って思いますね。
パソコン通信(って言うのかなぁ?)の画面が黒くて文字が角々なのも懐かしい。(私実際は知らないけど)

この映画の主人公キャスリーン(メグ・ライアン)とジョー(トム・ハンクス)は40歳前後(映画の中に年齢は出てきていないと思いますが、メグ・ライアンとトム・ハンクスがこのとき37歳と42歳)で、それぞれ同棲している恋人がいます。
ストーリー上当然、ふたりともそれぞれのパートナーと別れるシーンがあるのですが、キャスリーンが恋人のフランクにその話を切り出した後のふたりのやりとり(あら?あなたもそう思ってたの?よかったー!誰か好きな人いるのね?あ、あのコでしょ!)がよかった。
長年一緒にいると恋人でもこういう友達みたいな感覚になって、付き合っている彼に「ちょっと気になってるかっこいい男のコがいるの!」ってつい言いそうになった、という友人の話を思い出しました。

キャスティングも設定も、安心して観られるロマンチックコメディでした。


・ROMPECABEZAS
(「幸せパズル」 2011年 アルゼンチン・フランス) 

奇遇にも、最近私はジグソーパズルにはまっているので、なんてタイムリーな映画があるんだ!と思って観に行きました。

主人公マリアがコンテストでパートナーを組むことになる男性がとてもお金持ちなので、彼の自宅にはジグソーパズル専用の部屋があります。
これがうらやましかった!

ジグソーパズルをやっているときって(いちにちじゃ終わらないサイズのものね)どうやって置いておこうか悩むんですよね。
この映画でもごはんを食べるときに、テーブルに置いてあるパズルはどうするんだよ?とだんなさんが苦い顔をするシーンがありました。
先日テレビで、そのまま丸めて保管しておけるシートというものを紹介していました。
やっぱりみなさん、同じことで苦労しているのですね。

この邦題の「幸せパズル」。
私もジグソーパズルをやっているときは幸せだなぁと感じますが、それはパズル自体のおもしろさに加え、恋人や家族など親しい人と一緒に完成させていくことに幸せを感じているのです。
この映画の主人公マリアも、だんなさんと一緒にパズルをやることができたら、もっともっと幸せを感じられただろうなぁと思いました。


・Moneyball (「マネーボール」 2011年 アメリカ)

オークランド・アスレチックスの現GM・ビリー・ビーンが、今から10年ほど前に「マネーボール理論」によってチームを立て直した様子が描かれています。
彼を演じるのはブラッド・ピット。
野球映画といってもいろんな種類があり、実在の人物を描いている映画も多くありますが、この映画は実在のGM、しかも現在もその職についている人物が主人公でストーリー自体もたった10年ほど前に実際あった試合に沿っていている、という非常に珍しい設定です。

私は野球を題材にした映画が好きなのでこの映画も公開を楽しみにしていましたが、思っていた以上におもしろい内容でした。

選手をスカウトするときには打率や投球速度といった成績だけではなく、フォームやルックス・私生活やイメージなどの人気に繋がる要素も考慮に入れて値段や価値が決まる、なんて、言われてみればプロ野球は人気商売なので当然だなぁと思いますが、この映画でそんなセリフを聞くまでは考えたこともありませんでした。

このチームは何がよかったかというとオーナーですよね。
この映画では少ししか登場しませんが、ビリーが好きなようにこの理論を実践できたのは、オーナーのおかげです。
ビリーは自分の理論に信念を持ってオーナーに上手くいくと説得する。そしてオーナーは彼を信頼し任せる。

これは、上司・部下の間で、それぞれがいい仕事をするためにとても重要なことです。
この構図はオーナーとビリーの間だけではなく、ビリーとピーターの間にも存在します。
ビリーはとにかくピーターを信頼していました。
ピーターは自分の理論に信念を持っていながら、今までの環境もあり、なかなか自信を持つことができません。
しかし、ビリーに認められることでだんだんと自信を持ち、お互いの能力がより大きな力となっていくのです。

私は、こういう関係というのは仕事においてだけではなく、親子の関係・恋人との関係にも必要なことだと思います。
片方が片方に従うというのではなく、お互いがお互いを認め合う。
そのためには、それぞれが自分のやり方や信念に自信を持ち相手に理解してもらう努力をする、そしてその相手は思いやりを持ってそれを受け入れる。
もちろん意見の相違があった場合にはきちんと話し合うことが必要です。
そうしているうちに、絆が深まっていくんですよね。

私はオークランドでA'sの試合を観たことがあります。
サンフランシスコに旅行に行ったときに現地の友人が、ちょうどA'sとマリナーズ(イチロー)の試合があるからと、チケットを取ってくれたのです。
この映画を見始めて、もしや?と思ったところ、なんとこの映画に描かれていたのは、私が試合を観に行った2002年の出来事だったのです!
私が行ったのは9月15日だったので(旅行のアルバムに貼ってあったチケットで確認)、奇跡の20連勝を達成した10日ほど後でした。
私が観た試合はマリナーズが勝ちましたが、こんなドラマティックなことが起きているなんて全く知りませんでした。
実際に当時これらの試合を観ていてA'sの選手を知っている人であれば、この映画をより楽しむことができるでしょうね。
ちなみにこの映画では、一瞬ですがイチローの映像が出てきました。

この映画の中でとても印象に残った言葉がありました。
「金額が示しているのはあなた自身の価値」
彼らのようにその能力が明らかに金額で示される場合ばかりではないですが、私たちも会社からもらっているお給料は会社にとっての自分の価値でもあるわけなので、(会社の規模・種類や、仕事量が多いとか少ないとかとはまた別の話)自分の能力や価値について考えさせられる言葉でした。
会社からもらっているお給料だけではなく、今ある生活・自分の能力や自信などすべてが、今まで自分がやってきたことの成果ということですよね。

133分の映画でしたが、初めから終わりまで退屈なところはひとつもなく、全く長く感じませんでした。
これは、やはり脚本のおかげだと思います。

脚本を手掛けたふたりのうち、ひとり目はスティーヴン・ザイリアン。
彼は「ミッション・インポッシブル」(ブライアン・デ・パルマ監督の1作目)の脚本を書いています。
このシリーズ、ひとつ目はおもしろかったんだよなー。(ふたつ目はバイクが飛んだりしてあまりにジョン・ウーだったので、私の中でこのシリーズの印象が悪くなってしまって、3つ目は観ていません・・・)
先日初めて来月公開される4作目の予告を観ましたが、これはなかなかおもしろそうでした。

ふたり目のアーロン・ソーキンは脚本を手掛けた映画はそんなに多くないのに、「ア・フュー・グッドメン」「アメリカン・プレジデント」「ソーシャル・ネットワーク」など、私が好きな映画ばかりです。
どれもアメリカらしくて、うまいなー!って感じのストーリーです。

ビリーの娘を演じていたケリス・ドーシーという女の子は、ドラマ「ブラザーズ&シスターズ」にも出ていた13歳の女優さん。
彼女が楽器屋さんで恥ずかしがりながらギターの弾き語りをするシーンがよかったですね。
透き通ったきれいな声で素敵な曲をとても上手に歌っていてかわいらしかった!

ブラッド・ピットの映画観るのは「オーシャンズ13」以来、久しぶりでした。
彼ロバート・レッドフォードに似てますよね。
ふたりが共演した「スパイ・ゲーム」でもそう思いましたが、この映画はポスターの顔もそっくりでした。

私はイチローが好きなので彼が引退する前にシアトルに試合を観に行きたいと思っているのですが、この映画もよかったことだし相手はまたA'sがいいかしら。

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映画鑑賞日記・その12

・Winnie the Pooh
(「くまのプーさん」 2011年 アメリカ 同時上映「ネッシーのなみだ」)

今年、待ちに待っていたプーさんの映画!
この映画は、昔ディズニーが製作した「くまのプーさん」の絵とほとんど同じでした。(クリストファー・ロビンはちょっと今風でしたね)

絵本の文字が動いたりばらばらになったり、プーがその上を歩いたり、というのも見ていてとても楽しい演出でした。
なんでも、美術監督さんがどうしてもそうしたかったのだとか。
彼も子供の頃にオリジナルでそのシーンを見てとても驚いたからですって。

キャラクターたちがミュージカルのように歌を歌ったり、画風がちょっと変わったり、子供を(おとなも?)飽きさせない工夫がたくさんありました。
なによりキャラクターたちの動きがほんとうにかわいらしくて、見ている間中ニコニコしてしまいました。
数人で観に来ていた女子高校生たちが、かわいらしいシーンがあると毎回くすくす笑っていたのもとても微笑ましかったです。

私はくまのプーさんが大好きで、原作本・ディズニーのビデオをはじめ、ミニカーやおもちゃなどを自分でも呆れるぐらいたくさん持っています。
そんな私にとって、この映画は今年の公開作の中で1・2を争う作品になりました。
上映時間が1時間ほどというのは小さいお子さんでも見やすいのではないかと思います。
同時上映の「ネッシーのなみだ」も素敵なお話でしたよ。


・The Company Men
(「カンパニー・メン」 2010年 アメリカ)

ベン・アフレック、トミー・リー・ジョーンズ、クリス・クーパー、ケヴィン・コスナーというオスカー俳優が勢揃いのドラマ。

巨大企業で働くエリート営業マン、ボビー(ベン・アフレック)はある日突然解雇されてしまいます。
また、創設当初から共同経営者としてこの企業を支えてきた役員のジーン(トミー・リー・ジョーンズ)も、長年この企業に貢献し、ブルーカラーから管理職まで昇りつめたフィル(クリス・クーパー)も解雇されます。

さすがに朝出社して「午前中には引き払うように」なんて言われることはないにしても、多くの企業が苦しい今の時代、いつ自分にこんなことが起きてもおかしくありません。
この映画でもそうでしたが、特に大きな企業の場合、人事部は顔も知らない従業員のデータ(仕事内容・給料・年齢など)から、会社にとって効率のいい方法で解雇していきます。
小さい会社でお互いをよく知っていると、会社のためとはいえ感情が交じってしまって簡単にはいかない、ということはあると思います。
この映画でも、ジーンはボビーやフィルをよく知っているので、人事部に反対をするのです。
まあ、そんなジーンも、共に会社を育てて来た社長(彼は何億だか何十億だかの年収をもらっている)に解雇されてしまうのですが・・・。

ジーンは解雇されてもお金に困っているわけではありません。
ボビーやフィルのようにまだまだ学費が必要な子供がいるわけでもなく、必死で仕事を探している彼らと違って気ままな毎日を過ごしています。
私も映画を観ている間、ま、彼は生活できるからいいじゃない、という気持ちでした。
しかし、私がこの映画の中でいちばん悲しかったのは、ジーンがボビーを変わり果てた造船所に連れて行き、「Now everything I spent 30 years trying to build for myself and everybody else is gone」と言うシーンです。
彼はこの会社を作ったひとりなのです。
解雇されて金銭的につらいボビーやフィルとはまた違った苦しみを味わっているんですね。

人間はいちど贅沢をするとなかなかそこから抜け出せないものです。
ボビーはもう仕事もないのになんとかしてゴルフクラブ(ゴルフってプレーする場所も道具も「ゴルフクラブ」でいいのかしら?)の会員費を払おうとして、妻とけんかになります。
結局愛車のポルシェ(これがまたかっこいいスポーツカーなんです)も売らなければならない日が来ます。
一方で、そんなに若くはないのに、大工という肉体労働で質素な暮らしをしているボビーの義理の兄ジャック。
ボビーは彼に雇われてとりあえず生活費を稼ぐことはできても、その暮らしを続けていけそうにはありません。
それでもジャックと働くことで、こういう仕事もある・こういう生活もある、ということがわかりました。
そういう自分が知らない世界を知るって誰にとってもプラスになることです。

このジャックを演じたのがケヴィン・コスナー。
彼は20年ほど前は日本でもとても人気があり、私も大好きでした。
その頃の彼の主演作「アンタッチャブル」「フィールド・オブ・ドリームス」はブログでも書いたぐらい大好きな映画だし、「追いつめられて」「ロビン・フッド」なんかもおもしろかったですよねー。
この映画で彼を久しぶりに観ましたが、適役だったと思います。
他の3人の俳優さんも(私が言うまでもなく)とてもよかったですね。

ストーリーは驚くべき展開があるわけではないですが、面接で好感触だったことがうれしくてたまらない様子や、将来のことを考えているとこの上なく不安になってしまう様子など、登場人物の感情がとても丁寧に描かれていたし、終わり方も思いの外さわやかで、いい映画を観たなぁと思える映画でした。

そして、毎日通える快適なオフィスがあり、毎月お給料をもらうことができて、そのお金でちゃんと家のローンを払ったり大好きな映画を観ることができるってほんとうにありがたいことだと、心の底から感謝の気持ちが湧いてきました。


・Mine Vaganti
(「あしたのパスタはアルデンテ」 2010年 イタリア)

南イタリアでパスタ会社を経営する家族のお話。

ローマに住む次男のトンマーゾは会社を継いでいる長男アントニオに、自分がゲイであることを今夜家族に打ち明けると言います。
しかし、その夜家族が集まる中、突然アントニオが自分はゲイだと告白したため、トンマーゾは自分のことを言いそびれてしまいます。(お兄ちゃんずるい!)
息子がゲイであることを受け入れられないお父さん。

ひと昔に比べたら減っているかもしれませんが、イタリアだけでなくどこの国でもまだ同性愛者であることを親しい人にもカミングアウトできない人は多いのだろうと思います。
映画やドラマの中ではもう珍しくもないけれど、私も同性愛者だと知っている友人はひとりしかいません。(ちなみに彼はアメリカ人)

トンマーゾを訪ねて来る彼のボーイフレンドと友人たち(みんなゲイ)が陽気でとても愉快なんです。
彼らがビーチでダンスをするシーンは大笑いでした。

私は日本でも以前FOXで放送していた「Queer Eye」という番組が大好きでした。
これは、美容・料理・ファッション・インテリア・アートのスペシャリストである5人のゲイガイが、視聴者の中から選んだダサ男たちをかっこよく変身させるリアリティーショーです。
彼らは思いやりがあって楽しくていつもほんとうに陽気なんですよね。
「陽気な」という形容詞のひとつに英語で「gay」という単語があるのは、やっぱり彼らが陽気だからなんですかね?

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TOTO来日公演 (2011年9月27日 日本武道館)

2008年に活動を休止した彼らが、現在療養中(筋萎縮性側索硬化症)のベーシスト マイク・ポーカロの闘病支援のために、ヨーロッパと日本で限定ツアーを行いました。
これ、初めは5月の予定だったのですが、3月に起きた地震のために9月まで延期されていました。
延期が決まったのは4月だったので、なんだかもうすっかり忘れてしまって、この5か月、一緒に行った兄に何度も「そういえばTOTO来るのいつだっけ?」と聞いていました。

前回彼らの公演を聴きに行ったのは確か20年ほど前。そのときも兄と一緒でした。
翌年ぐらいに(うろ覚え)ドラムのジェフ・ポーカロが亡くなったというニュースを聞いたときに兄と、行っといてよかったねー、と話したのを覚えています。


今回の来日メンバー

スティーヴ・ルカサー(g, vo)
デヴィッド・ペイチ(key, vo)
スティーヴ・ポーカロ(key, vo)
ジョセフ・ウィリアムズ(vo)
サイモン・フィリップス(ds)
ネイザン・イースト(b)


今回S席9000円というとてもいいお値段だったので、来日を知ったときは行くつもりはなかったのですが、ボーカルがジョセフ・ウィリアムズと聞いて行くことにしました。
彼がボーカルを務めたアルバムは「FAHRENHEIT」と「The Seventh One」だけですが、私がいちばんよく聴いている彼らのアルバムはこの2枚なので、私にとっては最もなじみのあるボーカリストです。
ちなみに彼は映画音楽で有名なジョン・ウィリアムズの息子さん。
ほんとうにいい声ですよねー。

私はすべてのアルバムを聴き込んでいるわけではないので、何曲か知らない曲がありました。
曲名全部わからないなーと思っていたら、ウドー音楽事務所のページにちゃんと載っていました。
(でも、今リンク貼ろうと思ったら、もう見られなくなっていました・・・残念)


Child's Anthem
Till The End
Afraid of Love
Lovers in the Night
Somewhere in The Night
Pamela
Lea
Gift of Faith
Keyboard Extravaganza
Africa
Human Nature
Rosanna
Georgy Porgy
Stop Loving You
Home of the Brave
Hold the Line (encore)


始まる前に兄に「1曲目は何かなぁ?」と言ったら、「絶対Child's Anthemだと思うんだよね」。
さすが!
そしてアンコールの前に「何やるんだろうねぇ?」と言ったら、「Hold the Lineじゃないの?」
さすが!

彼らの大ヒット曲「Rosanna」はやっぱり盛り上がりました。
これがライブで聴くとまたいいんです!改めてよくできた曲だなぁ、と思いました。
オープニングからわくわくしますが、Aメロ2回目の7度上がるところとか!

武道館に向かうときから感じていたのですが、お客さんの年齢層が高い。(ま、当然ですね)
会社ではベテラン社員のみなさん、きっとこの日は何か月も前から会議とか入らないようにスケジュール調整したんだろうなー。
アリーナ席の方々はオープニングから立ち上がっていましたが、その他はほとんどみなさんおとなしく座って鑑賞。
立つと前見えないし、疲れちゃいますからね。
歳を取るっていうのも悪くない、と思いました。
帰りにグッズ売り場を通る30代男性「中学生のときはTシャツなんて買えなかったけど、今は買えるよなー」
手を繋いで帰るカップルは、もしかして初デートは20年前の来日公演だったかもしれないですね。
いいおとながこうしてなにも考えず楽しめる、みんなで大合唱できるってたまには必要な時間です。

そしてお客さんもですが、ステージの本人たちがものすごくノリノリで、なんか変なダンスをしたりして、とても微笑ましかったです。
もういよいよ日本で観られるのはこれが最後かもしれないので、今回もやっぱり行ってよかったなぁと思いました。

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映画鑑賞日記・その11

・Before the Devil Knows You're Dead
(「その土曜日、7時58分」 2007年 アメリカ)

フィリップ・シーモア・ホフマンとイーサン・ホークの兄弟がお金に困って強盗をする、というストーリー。

これがなんともまあ気が滅入る映画でした。
さらに、これを見たのがものすごく暑い夏休みの日だったので、クーラーのない我が家では頭はまったく働きませんでした。

そんなわけで、内容はほとんど覚えていないような状態です・・・。
ただ、そのやりきれないストーリーにさえない容貌のふたりが見事にマッチしていたことと、だるくて憂鬱な内容が私の感じている暑さにマッチしていたために、朦朧としつつも最後まで鑑賞できました。


・Hævnen
(「未来を生きる君たちへ」 2010年 デンマーク・スウェーデン)

デンマーク出身のスサンネ・ビア監督作品。
今年のアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の外国語映画賞を受賞しています。

私が映画を観て共感できる最もわかりやすい要素は、登場人物が自分と似通っていることです。
主人公が自分と同じぐらいの年齢で独身女性であったり、性格や仕事の内容が似ていたり、生活の環境が似ていたりという要素がある場合、自然と自分に重ね合わせてしまいます。

この映画はそういった要素はまったくと言っていいほどありませんでしたが、キャラクターやストーリーに共感するというのではなく、それぞれのシチュエーションにおいて、どのように行動するか?どのように感じるか?という点で、非常に共感できる内容であり、自分自身の性格や人間関係について考えさせられる映画でした。
困難な状況・過酷な状況においても常に穏やかでいられるか?ある職業・ある立場において、どこまでポリシーを保てるか?など、自分だったら・・・と思いながら鑑賞しました。

また、友人関係・親子関係・夫婦関係の脆さ、よい関係を保っていくことの難しさををひしひしと感じました。
そしてなにか好ましくないことが起こったときでも、暴力で解決したりただ怒りをぶつけるのではなく、きちんと話し合う・自分の意見や思いを伝えることがいかに大切かを改めて感じました。

お互いをよく理解していて信頼している親密な関係であれば、そんなに大げさに「話し合う」というのではなくちょっとおしゃべりする中でお互いがどんな状態にあるかわかったりするものですが、実際はその「ちょっと話す」ということがなかなかできなかったりするのもまた事実です。
誰かとよりよい関係を築いていきたいのであれば、とにかく自分の思いを素直に話す、そして思いやりを持って相手を受け入れる、という、言葉で書くとなんとも簡単そうなことを、勇気を持って実行していかなければならないと強く思いました。

主要キャラクターである医師のアントンが働く難民キャンプでの過酷な状況と、アントンの息子がいじめを受けて苦しんでいる状況。
この映画は「それぞれの悩み」について描いている映画でした。

例えば、経済的に社会的に、また容姿や生活環境に恵まれている人がちょっとしたことで悩んでいる場合、生きていくのも難しい人と比べてしまうと、その悩みはたいしたことではないように見えます。
しかし私は常々、悩みというのは人それぞれで、どちらの方がよりつらいか、というものではないと思っています。
どんな小さな悩みであれ当人にとってはこの上なく苦しいものであり、だからこそ、それを他人が理解し手助けするのは難しいことなのです。

一方で私自身は、やはり命に関わるような過酷な状況を目のあたりにすると(たとえそれが映画の中の出来事であっても)、今私が悩んでいることはくだらないと思ってしまうし、少なくとも仕事があり住む家があり、家族関係も良好で楽しい時を共に過ごせる友人達がいる、ということに感謝して、不平・不満を言ったらいけないなぁと思うのでした。
背が小さくてやだなーなんて言ってたら罰があたりますよ。


・The Ghost Writer
(「ゴーストライター」 2010年 イギリス・フランス・ドイツ)

ロマン・ポランスキー監督のミステリー。
(なんか彼の名前ってゴシップ・ニュースでしか聞かない気がする)

ピアース・ブロスナンがイギリスの前首相、ユアン・マクレガーが彼のゴーストライターを演じています。
ゴーストライターといえば、ぱっと思いつくのはやはり有名人の伝記です。
私はあまりそういった伝記を読んだことがなく、ゴーストライターについても深く考えたことはありませんが、彼らはゴーストライターとして成功していても、やっぱり小説家になりたかったりするんですかねぇ?
ゴーストライターだと自分の名前も出ないしね・・・。

この映画はキャスティングがとてもよかったですね。
ピアース・ブロスナンは言うまでもなく(彼はジェームズ・ボンドじゃなくても、相変わらずスーツがばっちり決まって素敵でした)彼の秘書役のキム・キャトラルも「Sex And The City」のサマンサとは違う魅力があったし、ユアン・マクレガーの寂しげな感じも役柄にぴったりでした。
彼は「彼が二度愛したS」でも、こういう巻き込まれ型のちょっと頼りない感じの役でしたよね。
この映画で登場人物のひとりが彼に向って「スターウォーズ計画」について話すシーンは、「え?笑うとこ?」と思ってしまいました。

ストーリーはそんなに驚くべき内容ではありませんでしたが、イギリスの孤島でゴーストライター(名無し)が感じている不安な気持ちが、降り続ける雨といかにもイギリスのミステリーっぽい音楽を通して私たちにもひしひしと伝わってきて、サスペンスフルな気分になれる映画でした。

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